世間では、若い人がツイッターやフェイスブックなどで自分の情報を発信できるようになり、そのために問題が起こってきた。
携帯電話やスマートフォンにカメラが付いて、誰でもいつでも写真を撮れるようになったことも大きいだろう。
おもしろ半分に写真を撮り、ネット上に上げ、それが常識外れだと指摘される。
「首都圏と東海地方でステーキレストランを展開する「ブロンコビリー」(名古屋市)は7日までに、アルバイト従業員が店の冷凍庫に入った画像をインターネット上に公開していたことを明らかにし、ホームページで謝罪した。
同社によると、足立梅島店(東京都足立区)で男性アルバイト(18)が冷凍庫に腰から下を入れた姿を別の男性アルバイト(18)が撮影、ツイッターに投稿していた。6日朝、問題を指摘するメールが同社に届き発覚したという。
同社は店内の消毒や従業員教育のため、6日から当面の間、同店を休業とする。問題のアルバイトについては「厳正に対応する」としている。」
今日の記事では店は閉店で、アルバイトに損害を請求するという話。
こんな騒ぎになるとは、アルバイト本人たちも思っていなかっただろう。
まだ、店に恨みがあるとか、営業停止にしてやろうとか、そんな企みがあってやったのなら対策も可能だろうが、そうではない。
全く悪気なく、単におもしろ半分でやったと思う。
第一アルバイトなのだから、そんな写真が撮れるような状態にした企業側の責任も問われるだろうし…、なぜそこにアルバイトだけしかいなかったのか、ということだ。
でも、それが現実なのだ。
デフレ、デフレと言われているが、その原因は給料が下がっていることだと言われている。
実際、非正規社員が増えて平均給与は下がっているが、なかでも非製造業では2000年以降ずっと下がり続けている。(2000年を100とすると2011年には87になっている。内閣府 平成24年度
年次経済財政報告 より)
そんな中で生き残っていくためには、アルバイトを多用するしか道はないのかもしれない。
だいたい、大学生が420万人くらいいるが、そのうち半分は定期的なアルバイトをしているとすると、210万人。
今の完全失業者数が250万人くらいだから、ほぼイコールの数字だ。
つまり、大学生のアルバイトを禁止すると、計算上は完全失業者はほぼゼロになる(実際にそうはならないだろうが)。
現状では都市部に大学が偏在しているので、結果的に都市部には豊富なアルバイトの労働力があることになる。
結局、都市部ではどうやって大学生のアルバイトをうまく使うか、がその店の収益を決定するような状況になっているのではないか。
実際、アルバイトが組織化され、実質的にアルバイトで運営されているような店がある。
大手(マクドやスタバ)ではさすがにそういうことはないが、居酒屋や焼き肉屋、ラーメン屋など外食系の中小チェーン店などでは、そういうところも多い。
ピザ屋でバイトしていた学生が、自分がリーダーでその下に学生バイトが数人いる、と話していたり、店にはバイトしかいない、という話も聞いた。
それが本当なら、何かが起こっても、責任を取る人がいない状態で営業しているということだ。
だから、この記事の会社は「アルバイトがそんな写真を撮れるようにした弊社の体制を改めます」ということを言わないといけない。
でも、収益上それは言えない。
こういう発言があること自体、アルバイトを補助の労働力ではなく、正規の労働力として扱っている証拠だ。
ひょっとしたら、本気でそう思っているのかもしれない。
この問題は根が深い。