オープンキャンパスという言葉、昔はなかった。
知らない人のために、どういう意味かというと、学校見学みたいなものだ。
高校生が、夏休みなどに大学の見学に行く。
その大学側のイベントがオープンキャンパス。
びっくりするのは、そのために大学側がいろいろなイベントをする、ということ。
昔と比べると、完全に主客転倒した。
高校も同じようにオープンキャンパスをやっている。
中学生に見せるのだ。
オープンキャンパスというのは、要するに、学校の宣伝である。
ぼくが高校生の頃は、一度は試験場の下見に行っておくように、と先生が言っていた。
行っても、誰が出迎えてくれるわけではないし、何も特別にやっているわけではない。
だいたい、キャンパスという言葉も一般的ではなかった。
三十数年前はそんなレベル。
今は大学は必死だ。
何とかして受験生を増やそうとしている。
お土産や、福引もあったりする。
模擬授業、学部・学科の展示、進路、下宿の紹介、どんなクラブがあるか…、至れり尽くせりである。
来訪する方も、高校生だけではない。
保護者も同伴という生徒もたくさんいる。
国立もオープンキャンパスをやる時代。
そういう時代になった。
高校側も2年生の夏休みくらいから、オープンキャンパスに行くことを推奨している。
早くから志望校を決めて、行きたいところをはっきりさせるためだ。
推薦やAO入試なら、入試が早いし、誰に指定校を与えるかという選考もあるので、早めに決めてほしいという本音があるのだろう。
しかし、高校2年や3年で、自分はこれになるとか、こういう学問をやるとか、そんなことが決められるのだろうか。
三十数年前の当時は、どこの大学の学部も、文系は文学部、法学部、経済学部、社会学部、教育学部、理系は工学部、理学部、農学部、薬学部、医学部くらいしかなかったのだ。
その中のどこにするか、という選択だった。
もちろん、大学側はオープンキャンパスなどしなくても、受験生は集まったから、今のような努力はしない。
今は百以上の学部名がある。
5文字以上の学部名が一般的だ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E9%83%A8%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
わけのわからないものばかりなのだが、グローバル何とか、福祉何とか、国際何とかなどの学部が多い。
どんどん学部が専門化して、名称が増えた。
分ける必要もなかったのだろうが、とりあえず新しい学部名称にすると人気が出て受験生が増えるという効果もある。
ひどいところは、学部を作った年から定員割れというところも出てきた。
要は学部名称は学問と関係なくなったのだろう。
今のえらい先生は、みんな4文字以下の学部を出てきた人だ。
その人達が教えるのだから、どこも似たようなものに違いない。
それでも、百以上の学部名があるというのは、なかなか面白い現象だ。
大学の差別化を学部名でやっているのだろう。
話がそれた。
要は、高校側はどの学校のどの学部に行きたいのかということは、早めに生徒に決めてもらいたい。
大学はできるだけ早く生徒に入学希望を決めてもらいたい。
その両者の利益が一致して、オープンキャンパスがある。
教育的な価値はほとんどないと思う。