考えたこと2

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筒井康隆著 新潮文庫

老人文学。
文体が変わっている。読点がない。
最初は違和感があるが、読み進むうちに慣れてくる。
筒井康隆の小説といえば、「俺」が主人公に決まっていたが、この小説は「儀助」という老人が主人公。
それぞれの章に、「朝食」とか「友人」とか題名が書かれており、8ページ程度の長さで一章が終わる。

昔の筒井康隆を期待してはいけない。
ドタバタもないし、スラップスティックもないし、ブラックユーモアもない。
むしろ、最初は一体何が始まるのか、という感じだ。
読点のない文体が妙に目につく。
そうやって、読ませていくだけの筆力がある。

もう一つ、擬態語・擬音語が漢字で書かれているということである。
雀の声は、「痴痴痴痴痴痴宙宙宙注注注」と表現されている。
なんの効果を狙ったのか。
それでも、慣れるとこれはこれで味わいがある。
カタカナで書くよりも、漢字を選んで書くほうがより意味が伴って面白い。

物語は、儀助老人の身の回りのことを描いて、それで終わる。
途中、「敵」という章があって、不思議な敵が想定される。
パソコン通信の中での話だ。

最初から最後まで、一人暮らしの老人の生活を描いて終わる。

それでいて、なぜか面白い。

不思議な味わいがある。

さすが筒井康隆。




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