考えたこと2

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現場の力
今週末、大きな台風が来るが、予報ではまた関東が危ない。
千葉では、1ヶ月前の台風による被害がまだまだ残っている。
テレビを見たが、鉄塔が倒れ、送電線が切れ、電信柱が倒れていた。
瓦が飛んだ家や、屋根そのものが飛んだ家もあった。
今も航空写真で見るとブルーシートがたくさん残っていた。
こないだ知り合いの業者に聞いたら、関西の業者まで千葉の住宅の修復の依頼が来ているという。
現場で働く人が足りないのだ。

停電に関しては、当初の東京電力の普及予想も甘かった。
去年の台風でうちも2日ほど停電したが、電気がないと本当に困る。
めったに停電などしないから、ほんとに困った。
あの時は関西電力が停電した場所を特定するシステムがダウンしたらしく、電力会社もどこが停電しているかわからなかったと聞く。
きっと東電も被害の実態がわかっていなかったのだろう。

しかし、今回は大規模な災害だったから、復旧は広範囲にわたって大変だと思う。
記事によると、実際に現場の人が足りないことがよくわかる。

実際の現場の作業にあたっている「東電作業員」の多くは「東電社員」ではないらしい。
1965年頃までは東電社員が電柱を立て、工事をしていた。
電柱の建て替えは主に東北地方からの出稼ぎ労働者で、熟練の職人が多かったという。
ところがバブルの時に「3K」という言葉が流行り、技能労働を軽んじる風潮が生まれた。
ちょうど大学進学率がどんどん上がったことの裏側だ。
記事は言う。

「新卒一括採用・終身雇用・年功序列という日本型雇用慣行がこの時期に完成して、「いい大学を出て、いい会社に入ってホワイトな机上仕事に就くことが唯一の人生の勝ちパターン」という物語を1億人が共有したわけです。
しかし、まともに考えれば、一階に技能を必要とする現場作業があって、二階に技術を必要とするホワイト職場があったときに、全員が二階に登ってしまったら社会は回らなくなるのは自明です。
もはや誰も熟練した技能を尊重したり敬ったりしなくなり、それどころか蔑み、忌避した結果、みんなが管理する側に回って誰も作業する側に回らなくなる。現場の熟練のノウハウが減衰し、工事の品質が落ち、作業が遅れていくという状況がそこかしこに起きていて、この千葉大停電をめぐる異例な状況を招いている構造的な要因になっていると私は思うのです。」

現在は、現場の仕事をする人が減り続け、それを外国人労働者でパッチを当てているのが実情だという。
さらに、この歪を直す方法を提言している。

「これからは経済のデジタル化やIoT時代を迎えて、例えば自動運転車のMAASだとかテクノロジーがインフラ事業に適用されて行くことになりますが、その一階のインフラ基盤を支える技能がスカスカだと、二階にどんなに素晴らしい技術を走らせても何の意味もありません。
この歪な構造を直すのには一つしか道はありません。それは、プロジェクトを渡り歩く熟練技能インディペンデント・コントラクター(独立業務請負人)の方が、相対的に非正規会社従業員よりも割に合うようにすることです。」

「職人」は貴重なものだ。
世の中デジタル化が進んでも、物理的にものを動かしたり、その設備を施工したりするためにはアナログな仕事が必要になる。
そういう人たちがもっと儲けなければならない。

記事を書いた人も、最後にこう締めくくっている。

「熟練技能セルフ・コントラクターは、いつの時代も絶対になくなりません。これからは技術より技能の方がご飯が食べられるトレンドとなっていくように思います。」

職業人を養成する大学を作ろうとしているが、手を上げる学校法人はほとんどない。
大学とは違う、職能を広げる短期の学校を作るべきではないか。
文科省は何でも「大学化」しているが、ぼくは大学を卒業して専門学校に入り直す学生も見てきた。

「大学さえ出ておけば…」という時代は終わっていると思う。



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