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2019.10.01 Tuesday
高齢民主主義
日経ビジネスに「投票所で立ち尽くす高齢者、選管職員が見た実態」というのがあった。
要は、投票には来たけれど、何をしたらいいかわからない高齢者がいる、ということだ。 選挙管理委員会の人が言うには、家族に連れられて期日前の投票に来た高齢者が、全く動かない事態になったという。 これから認知症が増えてくるが、認知能力が下がっても投票できる環境を整えなければならない、という意見。 これにはびっくりした。 認知能力が下がったら、選挙権は行使しないほうがいい。 それが民主主義の前提だと思う。 選挙に行く人は、自分の意思で正しく考え、誰がいいかを決めるのだ。 それができなくなったら、選挙権は返上すべきだと思う。 特別養護老人ホームの不在者投票で立会人をしたことがある人が、「記載台に向かって候補者の氏名を見ても選挙の投票だと分かっていない人がいた」と言っている。 ぼくは自分がそうなったら、選挙権は返上したいと思う。 今の日本で「選挙権の返上」は認められないが…。 2013年に公職選挙法が改正されて、成年被後見人は選挙権を取り戻したらしい。 成年被後見人とは「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者で、家庭裁判所より後見開始の審判を受けたものをいいます(民法7条、8条)。」という定義。 しかし、世の中に認知症の人が増えてきているのは事実で、その人たちは事実上選挙権は行使できないと思う。 いくら後見人制度が整ったからと行って、後見人は本人ではないのだ。 後見人が誰かに投票をさせることだって、可能だと思う。 このへんはもっとちゃんと法整備をしないと、これからの「認知症社会」に対応などできないと思う。 実際に、「高齢者施設での不在者投票では、職員が入居者の投票用紙に勝手に候補者名を記入する公選法違反事件が頻発している。」とのこと。 記事の最後に 「中央大学の新井誠教授は「認知症患者にも意見はある。周囲の人が『意思決定』を支援する仕組みづくりが急務だ」と話す。身体機能が衰え、認知能力が落ちる高齢者が増えれば、そもそも投票率は下がる。「(将来の認知症患者数の推定値である)700万人以上の高齢者が選挙に行かないような事態になれば、民主主義の根幹が脅かされる」と新井氏は指摘する。」 と書いてあった。 しかし、これからの日本を支えていく若い人たちの意見を聞くべきではないのだろうか。 彼らに、もっと決定権を与えるべきだと思う。 だいいち、定義から「事理を弁識する能力を欠く常況にある者」は正しい判断ができないわけで、そういう人たちが投票するのは無理がある。 そのためにも、民主主義の仕組みを考え直さないといけないのではないか。 ぼくはそう思う。 |
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