考えたこと2

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氷河期世代
「氷河期世代」というのをネットで調べると、「卒業年が1993年度から2005年度の世代を就職氷河期世代、特に2000年、2001年を超就職氷河期と呼ぶ」という記載がある。
ぼくが就職支援の仕事をし始めたのが2008年度からだから、幸いその時期は知らない。
でも、大変だったということは聞いている。

卒業する年に22歳だとすると、今の年齢は33歳から41歳くらいか。
一番厳しかった頃の人は37、8歳になる。
本当に気の毒だと思う。
日本では新卒一括採用が学校を卒業する人の就職のメインであり、その時期を逃すといろいろとシンドイ。
景気に左右される就職だが、この頃は本当にひどかった。
その人たちを支援している「東京しごと塾」の記事を読んだ。

ニートの支援をやっている人の話も聞いたことがあるが、まずはやる気を出すことが必要だという。
そこで、この塾も最初は「目標を復唱すること」から始めるとのこと。

「正社員への覚悟を決める!」「あきらめない!」「なげださない!」。

それを30歳を超えたメンバーみんなで言う。
大事だとは思うが、メンバーを見たことがないぼくは、ちょっとやりきれない感じになる。
その人たちが悪かったわけではない。
時代が悪かったのだ。
記事にはこうある。

「バブル世代がどんどん乗り込んでいった会社というバスのドアが目の前で閉まった世代」。転職サイト「リクナビNEXT」の藤井薫編集長は氷河期世代をこう表現する。バブル崩壊後、企業は急速に新卒者の採用を絞り、若者は行き先を失った。その氷河期世代が30代後半から40代前半になりつつある。総務省の調査によると35〜44歳で非正規で働く人は約390万人。うち約2割は不本意ながら非正規を続けている。まだ可能性が広がる若い世代の陰で、行政の支援からも「忘れられた世代」になってきた。」

390万人もいるのか…。
その世代の人たちが、将来の不安に加えて親の老齢化などでやっぱり正社員に、と思っている。
それは当然だろう。
去年、今年と就職状況はよく、売り手市場だからチャンスはある。
親ももう70代に入ろうとしているから、それを望む。子供の支援に毎月10万ほど払っている人もいるから、親も後押しする。

行政サイドもようやく問題に気づき、支援を始めたが、なかなか難しい。
一度キャリア形成につまづくと、なかなか元に戻れないのが現実だと思う。
氷河期世代が中年にさしかかろうとするのが現実だが、行政の支援は若者に向かっていたこともある。
だから、「忘れられた世代」と言われるのだろう。

記事の中で慶応義塾大学の樋口美雄教授がインタビューされ、こんなことを言っている。

「日本では雇用は十分にあり、仕事に就けないのは本人の問題だという意識が強かった。一方、欧州は長い歴史の中で、社会的阻害(ソーシャル・エクスクルージョン)が失業や雇用に限らず社会的悪循環をもたらすという問題意識を持っている。そのため社会的包容力(ソーシャル・インクルージョン)に力を入れている。日本でも就職氷河期世代を放っておくと生活保護などの財政問題が生じる。そうした問題を認識する段階に入ってきている」

そうだろうなあ。
このままいくと、生活保護が増えて、にっちもさっちも行かなくなる。

日本では正社員になることが就職と思われているが、ぼちぼちその意識を変えていかないといけないと思う。
正社員と非正規社員の垣根を低くして、非正規社員の処遇をよくすることだ。
今までの正社員が守られすぎていて、産業構造が変わらないという面もある。
定年制度も見直しが必要だろう。
60歳や65歳で退職金をもらって定年するという制度をいつまで続けるのか。
退職金の代わりに長く働くという道もあるだろう。(実際そういう中小企業もある)
そんな「働き方の改革」を早くしないと、今や4割を超えた非正規社員の問題は解決しない。

ぼくは就活ゼミをやっていた頃に、「終身雇用は必要か?」と学生に聞いたら、みんな口をそろえて「必要だ!」と言った。
しかし、「その制度のおかげで、若い人たちの雇用機会が減っている」というと一様に「ふーん、そうなん?」という顔になった。
正社員になれれば勝ち、という社会でいいのかな、と問いかけると「それは…」という。
もちろん、就活ゼミだから、就活生は正社員を目指して頑張ってもらう。
でも、今の労働のあり方に疑問も持ってほしいと思っていた。

彼らは今どう思って仕事しているんだろうか…。

そういう若い人たちが政治を変えていかないとイケナイ。
| | 考えたこと | 20:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
学校の部活
6月17日に文科省から「学校現場における業務の適正化に向けて」という通知が小学校、中学校、高等学校に向けて出された。

これはOECDの調査などでも、日本の教員の労働時間が長いことに対して取った措置。
いいことだと思う。

今回の通知は、「この中で,とりわけ,部活動における休養日の設定の徹底をはじめとした運営の適正化や、勤務時間管理の適正化の必要性等を示している」とのこと。
この文書によると、政令指定都市を除く市町村教育委員会が主体で、所管の学校に対して必要な支援を行うことになっており、「各教育委員会における業務改善に関する取組について、適切な時期にフォローアップを行い、その推進を図ってまいります」と書いてある。
その上で、上部機関である都道府県、政令指定都市の教育委員会に対して「本件について十分な周知を図るとともに、必要な指導,助言又は援助をお願いします」とある。

これに関して大阪府のページには早速「文科省は中学高校の部活動で休養日を設けるよう各教育委員会に通知したが、教育の一環であることを勘案しなければならない難しい問題だと思う。」というような意見が寄せられている。

これに先立って、2014年に大阪市で「運動部部活を民間委託」という記事があったのを思い出す。
ぼくの学校では特に中学、高校時代、部活の指導というのが時間を取っていた。
あまり強くはなかったが、それでも土日は練習しているところもあったし、大会に出るとかいうことになると顧問や監督者の休みは潰れる。
放課後は7時前まで練習、朝も練習というところもあった。

この部活というのはどういう位置づけなんだろうか。
はたして部活は教育の一環なんだろうか。
それなら全員参加にしないといけなくなるが、そんなことはできないと思う。

海外の部活との比較をしているサイトをみると、こう書いてあった。

「日本以外では、スポーツは学校教育と別に行われるのが一般的である。しかし、日本では、運動部活動として、スポーツが学校教育に強く密接に結び付けられているのである。」

実際、学校によっては特定の部活ができる先生を採用するというようなこともやっていると聞く。
本末転倒である。
リオのオリンピックで金メダルを輩出した水泳、柔道などはどちらかというと学校外のクラブ等でやっているのではないか。
学校単位でやるというのは、指導の点でも、やっている生徒にとってもいいことばかりではない。
才能のある生徒を集め、良い指導者が指導すればもっとうまくなれる。

高校野球のように、学校の宣伝のためにその競技を強くするというようなことも行われている。
これも本末転倒だと思う。
今大会で創部3年目で出場した高校もあったが、何度も優勝した監督を招き、何人かは県外から選手をスカウトしている。
要は設備と指導者、いい選手を集めれば勝てる。
ある種ビジネスになっているのだ。
でも、そのビジネスを学校の部活という隠れ蓑で隠し、主催者は美談に仕立てている。
もう学校とは切り離して、クラブチーム等でやったらどうか。
その方がピッチャー投げ過ぎなどの弊害がなくなると思う。

今の中学、高校に染み付いた「部活」というものを見直し、出直したほうがいい。
本来の教育をもっとちゃんとやらないといけないと思う。

そのためには、今回の適正化を厳格にやってほしい。

| | 考えたこと | 00:30 | comments(0) | trackbacks(0) |