考えたこと2

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チューニング・メーター
ぼくは中学2年の時からギターを始めた。
人より少し早かったので、何人かぼくにギターを教えてくれという人もいた。
ちょうど世間ではサイモン&ガーファンクルや拓郎、陽水の流行っている時期でもあり、駅から降りてくるたくさんの大学生がギターを持って通っていた。
フォークソングのブームだったなあ。

ぼくが教えた人は、どこでツマヅイたかというと、チューニングだ。
最初にチューニングをやって、それから教えるのだが、そこが難しい。
当時はチューニング・メーターというような便利なものがなく、耳で音の高さを合わせるしかなかった。
ギターという楽器は毎回音合せが必要だ。
相対的には、2弦の5フレットと1弦の開放、3弦の4フレットと2弦の開放、4弦の5フレットと3弦の開放、5弦の5フレットと4弦の開放、6弦の5フレットと5弦の開放、という具合に音の高さを合わせていく。
それが一応合った時点でコードを弾いて、響きを確かめる。
狂っているようならオクターブ違いの音を弾いて、合わせていく。
絶対値を合わせるなら、音叉でラの音(440Hz)を鳴らし、それと5弦の開放を合わせる。
2台のギターなら、片方のどこかの弦を弾いて同じ音に合わす。

この、同じ音に合わせる、というのができないとギターは弾けない。
というか、チューニングが狂ったギターで平気で練習できる人は、あまり音楽が向いていないと思う。

でも、ぼくが教えた何人かはそこでツマヅイた。
この音、同じやんなあ、と言われても返事に困るような状態の人もいた。
仕方ないので、代わりに合わせて、簡単なアルペジオを練習したりしたが、やっぱりチューニングがちゃんとできないと、音楽にならない。
それは弾いている本人もわかるのだろう。
だから、面白くなくなって弾かなくなる、という感じだった。

その、狂っていたら何となく分かるのだが、合わせることが難しい、という人たちがボーダーラインにたくさんいると思う。
別に音痴でもなく、歌も歌えるのに、最初のハードルが超えられない。
それでギターを諦めた人も多かったのではないか。

しかし、それをテクノロジーが救った。
安価なチューニング・メーターが出てきたのだ。
80年代半ばくらいには、数千円で買えるようになったと思う。
ぼくもそのころ買った。
その頃のものは、マイクで音を拾うか、エレキギターならシールドでつないで合わせるというようなものだったが、最近はクリップ式でボディの振動を拾って音を合わせる。
もう1000円しない。
あのころ、チューニング・メーターがあったら、ハードルを乗り越えられたという人たちが、還暦を過ぎてもう一度挑戦しているのかもしれないなあ。
80年代後半にバンドブームが来たのは、チューニング・メーターのおかげかもしれない。

チューニングは職人芸でもあり、どこかを合わせるとどこかがずれるというようなものだ。
それほど奥が深いのだが、メーターがあればとりあえず簡単に合わせることができる。
アマチュアなら、十分なレベル。
今は当たり前のように使われているし、だからこそバンドで音が合う。

テクノロジーがユーザーの裾野を広げるという意味で、ギター人口の増加にチューニング・メーターの果たした役割は大きいと思う。


| | 音楽 | 23:48 | comments(0) | trackbacks(0) |