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2016.08.03 Wednesday
専門職業大学
5月に中央教育審議会が新しいタイプの大学を創設するように答申したとのこと。
新しいタイプ、というのは以前書いた記事で「新しい大学」と言っていたもの。 名称はまだ未定だが、「専門職業大学」みたいなものになるようだ。 2017年度の概算要求で設置認可の支援策も織り込まれるかもしれない。 これらの対象は下位の大学。 どちらかというと、定員割れをしているような大学や、これから経営が危ぶまれる小規模私大などだろう。 あまり中位や下位の大規模な私大は考えていないと思う。 大幅な教員の入れ替えが伴うから、なかなかできないだろう。 新設学部を専門職業大学、という扱いにするところは出てくると思う。 そもそも設置の要件が今までの大学とはだいぶ違う。 記事によると、こう書いてある。 「4年制(大学)、2・3年制(短大)の2種類の修業年限があり、4年制では前・後期制も導入して、編入学や「社会人の学び直し」をしやすくします。産業界や地域と連携したカリキュラムを組み、卒業単位のおおむね3〜4割以上を実習等に充て、とりわけ企業内実習等を2年間で300時間以上、4年間で600時間以上、実施するよう義務付けて、事業の現場の中核を担う人材を養成するのが目的です。そのため専任教員のおおむね4割以上は、企業関係者などの実務家教員とします。職種としては、IT、観光、農業(いわゆる第6次産業化)などの「成長分野」が期待されています。 専門学校からの転換の他、大学・短大が一部の学部・学科を転換して併設することも可能にします。ただ、財政措置に関しては、既存の私学助成の枠組みに含めることに私大関係者の反発があり、答申でも「相応(ふさわ)しい支援を行っていく」という抽象的な表現にとどめています。」 企業内実習を4年で600時間以上、というのがきついだろうなあ。 一日7時間として、90日程度。1ヶ月の稼働を22日とすると4ヶ月以上になる。 学校全体でやるには、かなり小規模でないと人数的に受け入れ先を探すのが大変。 だからこそ、大学なら1年目に当該業界の基礎知識を徹底的に学習させる必要がある。 そのうえで、今流行のインターンシップみたいなことを長期間でやる。 既存の学部と違って、就職先が見えるので、人気は出るだろう。 農業なら過疎地で困っているところなど、年間を通じて若い人が来るとなるといいかもしれない。 6次産業化、ということならちょっと難しいが…。 ITは忙しいから、なかなかインターンを長期で受け入れできないだろう。 観光もホテルなどは無償なら受け入れてくれるかもしれない。 しかし、人数分の実習先の確保が難しいだろうなあ。 地域の商工会議所などとタイアップというのはあり得る。 ただ、専任教員の4割以上が実務家教員というのが、既存学部学科からの転換となるとシンドイところ。 今いるアカデミックな専任教員をだいぶクビにしないといけない。 そこが一番のハードルだ。 まあ、中教審でG型大学、L型大学を主張した富田氏は、今のアカデミックなやり方をL型大学では止めるべき、という立場だったからなあ。 経済学よりも簿記を教えよう、という感じだったはず。 ぼくもこの案には賛成だ。 大学で実用的な知識、スキルを教えて、実際に学生時代にある程度のまとまった就業経験をすることは、アルバイトに明け暮れるよりよほどマシ。 下位の大学の学生は6割以上アルバイトやっているのだから、それをインターンに変えればいい。 そして補助金をもらって、それをちょっとした給料にして学校が払えばいいのだ。 そうすれば就職もイメージが湧くし、その分野に行かなくても働くことに対するハードルは下がる。 実際、2週間程度のインターンに行った学生の就職率は有意に高かった。 苦しい専門学校や短期大学は転換するかもしれない。 苦しい大学も転換はあるとは思うが、まあ、学部単位や学科単位だろうなあ。 でも、それで大当たりすれば、大学業界は右に倣えで大きく動くかもしれない。 大学教員にとっては受難ということにはなるが…。 でも、増え過ぎた結果、揺り戻しが来たということだ。 |
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