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2019.01.20 Sunday
禁煙とティータイム
ぼくは2008年に脳梗塞をやって、禁煙した。
当時はまだオフィスの中にも喫煙ルームがあったりして、仕事場で吸えた時代。 その後10年経って、どんどん厳しくなった。 学校でも構内は禁煙、というのが当たり前になりつつある。 喫煙者の先生は研究室でこっそり吸う、という感じだ。 オフィスビルでも、室内で吸えず、階段の踊り場などで吸うとかいう有り様。 そもそも若い人の喫煙率は下がっているから、どんどん吸う場所も減っていく。 電子タバコもだいぶ普及したが、それでも何となく人のいるところでは吸えない、という風潮だ。 禁煙してみたら、タバコを吸うと部屋が汚れるとか、灰がいろんな所に落ちるとか、匂いがするとか、デメリットが見えるようになる。 でも、一つ喫煙の良さがあるとしたら、仕事中に違う部署の人とコミュニケーションが取れる、ということだ。 ぼくが経験した職場では、他にそういう機会がなかったから、結果的にこれは良かった。 当然、喫煙者だけだが、それでも仕事のことで、いろんな情報を交換したり、知恵をもらったりした。 そして喫煙者がそれを持ち帰り、部署の中で情報交換する。 これが結果的に組織の垣根をだいぶ下げていたのだと思う。 全面禁煙にしたときに、こういう場をどうやって作るかは難しいと思う。 それまでは何の不自由もなく、自然にできていたからだ。 ぼくが新入社員のころ、もっと古い人たちには、麻雀というコミュニティもあった。 夕方4時過ぎに電話があって、課長に取り次ぐとひそひそ話をして、5時過ぎに帰る。 そういうときは、たいがい会社のそばの雀荘にいる、と先輩社員に教えてもらった。 会社が忙しくなり、雀荘も潰れてしまったが…。 今の会社は組織も大きくなり、人も増えて仕事は細分化したのだと思う。 そのうえ、全面禁煙が当たり前になっている。 おまけに、どんどん中途入社での人も雇っている。 そうなると、どうやって部署間のコミュニケーションを取るのだろう、と思う。 公式には会議体があったりして、部署の情報はシェアされるのだろうが、そんなところで話せる情報はしれている。 非公式のコミュニケーションの場がどれだけあるか、だと思う。 80年代にイギリスのオフィスで何日か働いたことがあるが、あのときはイギリスには本当にティータイムというのがあるのを知った。 古い会社だったから、それがあったのか、それともイギリスでは当たり前だったのか、そこまではわからない。 それでも、そのフロアのいろんな部署が集まって、午前と午後の2回、ティータイムをやっていた。 当時、イギリスは経済的には苦しんでいたが、それでも余裕があって、豊かな国だと思ったものだ。 今はどうなっているかは知らないが、あれはいい制度だと思う。 部署間の情報交換を非公式に進められる。 他部署の人のアイデアをもらえたりもできる。 今から思えば、脳梗塞をやってから、ほとんど他部署の人と話す機会はなかった。 週に1回の会議だけ。 もっとコミュニケーションが取れていれば、辞める時期は遅くなったかもしれないとは思う。 それほど、非公式な部署をまたいだメンバーとのコミュニケーションは大事だ。 タバコはもうだめだとしても、ティータイムならやれるのではないか。 一見、生産性が下がりそうだが、きっとこういう取り組みは生産性を上げると思う。 |
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