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2016.06.26 Sunday
もう一つのアメリカ史
映画監督のオリヴァー・ストーンが10回シリーズの「もう一つのアメリカ史」というドキュメンタリーを作っている。
ハードディスクに録って、最初の4回分を見た。 彼自身がベトナム戦争を体験し、どちらかというとアメリカの反体制の側からの視点だ。 ぼくらはアメリカの近代史には詳しくないが、ルーズベルト大統領が当時のアメリカを、どう考えて戦争に参加していったか、そしてそれを導いたチャーチル、スターリンなどの人間模様も描いていた。 彼が力説しているのは、ルーズベルトの後継の大統領がトルーマンになったことが、アメリカの不幸だった、ということだ。 長期政権をとったルーズベルトのあと、第2次大戦を終結する役割を担うのが、当時の副大統領ヘンリー・ウォレスだったら今のアメリカは変わっていただろう、という。 彼は筋金入りの平和主義者だった。 原爆もどうなっていたかはわからない。 その後の冷戦の状況も変わっていただろう、という。 彼によると、トルーマン大統領は最悪だ。 原爆投下の決定も優柔不断。 軍の強硬派に負ける、哲学がない…そんな感じだ。 都市に対する無差別爆撃や原爆投下は犯罪だという。 天皇制の存続について触れないで日本の終戦を遅らせ、原爆の投下で原子爆弾の効果を確認し、ソ連に対して優位に立つという駆け引きにも批判的だ。 そして原爆が投下され、オッペンハイマーらの核開発物理学者らの言うことを聞かず、ソ連との冷戦の元を作った、と解説されている。 本当に日本を終戦に追い込んだのは、満州へのソ連の進攻だった、ということだ。 こういうのを見ると、アメリカは健全だと思う。 マトモな批判をする人がいる。 自分の国の加害を認めるという批判だ。 ふりかえって、今の日本にそういう人がいるだろうか。 日本人はみんな被害者のように見える。 自分たちの加害の歴史を、自分たちの視点で見ていない。 戦争反対、戦争はダメだ、といくら言っても過去は消えない。 その加害の歴史も認めてこそ、前にすすめるのだと思う。 そこを精算しないといつまで経っても大人の国になれないのではないか。 あと6回分の放送。 冷戦時代から現代のアメリカへ。 なかなか見応えがある。 |
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