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2016.06.02 Thursday
新しい学校
増えすぎた大学を整理する動きが始まった。
4月13日から始まった文科省の会議は「今後の私立大学の在り方を話し合うための文部科学省の有識者の会議」らしい。 何せ、私立大学の4割が定員割れしている現状だから、「大学の統合や連携も含めた経営支援の方法などについて検討を進める」ことになった。 文科省のページを見ると、18歳人口の減少等による経営困難校の顕在化とか、管理運営上の不適切事例等、という言葉が書いてある。 何といっても、私立大学に対して補助金を出している監督官庁だから口を出す権利はある。 検討事項としては主に5項目。 私立大学等の果たすべき役割、ガバナンスの在り方、財政基盤の在り方、経営支援、経営困難な状況への対応、というような事項が上がっている。 まあ、文科省としては私立大学を再定義しよう、ということになるんだろう。 メンバーを見てみると、学長や理事長、教授などの大学・教育関係者が18人、それ以外が3人という構成。 大学関係者以外のメンバーは、ニチレイの相談役、読売新聞の論説委員、公認会計士、ということになっている。 これを見ると、まず思うのは大学関係者が多すぎることだ。 文科省の領分を減らしたくないという意図が働いているということだろう。 あまり大学が減ると、天下り先も減るし、予算も減らされるからだ。 ぼくが大学に転職したころから、私立大学の定員割れは問題になっていた。 もう10年以上前だ。 18歳人口が減っていくのはわかっているのに、大学は増え続けている。 その結果、極論すれば名前さえ書ければ合格できる、ボーダーフリーと言われる大学が増えている。 大学の定員の方が、大学に行きたい人よりも多いんだから、どうしようもない。 需要と供給の法則だ。 ことは教育である。 入試もやっているのに、どうなっているのかと普通の人は思うだろう。 事実上、学校法人の経営優先で入試が成立しなくなっている。 文科省の予定では、そういう大学は潰れていくはずだった。 しかし、経済原理に教育理念は簡単に負ける。 「これでは教育ができないから、ウチは学校閉めます」というような志の高い法人はなかったということだ。 今や多くの下位の私立大学では、事実上学力不問の推薦入試やAO入試が半分以上になっているのが現実。 そういう大学は経済的にも苦しい学生が多いから、奨学金をもらう比率が上がる。 就職先が、借りた奨学金がペイするレベル以下になるから、奨学金が返せない事例が増える。 そんな問題も大きくなってきて、もう放っておけない。 だから、私立大学の経営をどうするのか、破綻したらどうするのか、ということをもう一度(過去にも話し合っている)話しあおう、というのが会議の趣旨だろう。 座長である金沢工業大学の学長は、入れた学生はちゃんと育てよう、という教育をやっている人。 365日開いている夢工房や、24時間の図書館など、ユニークな教育をやっている。 残念ながら少数派だが、だからこそ、座長に選ばれたんだろう。 教員も北陸出身の人で、教育に熱心な人を選んでいるらしい。 去年、G型・L型という分類で、L型大学(グローバルではない大学)はもっと実学を教えるべきだ、という議論があったが、その通りだと思う。 それなら、ボーダーフリーでも構わない。 ただし、教員はちゃんと教えられる人を選ばないといけない。 今度こそ、ちゃんとやらないといけないと思う。 |
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