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2016.06.28 Tuesday
バイオミメティズム
BSワールドニュースを見ていたら、フランスのニュースでバイオミメティクスのニュースをやっていた。
そこでは、生物のメカニズムを工学的に真似して、効率よく目的を達しよう、ということでエアバスの主翼の設計にワシなどの猛禽類の羽のカタチを真似することが紹介されていた。 ワシは獲物に音もなく迫っていける羽の構造を持っているからだ。 主翼のカタチをワシの羽の形に近づけ、後端部を柔らかく(実際の羽のように)すると、離着陸時の音が小さくなり、燃費も1%程度よくなるとのこと。 2020年に実用化するべくやっている、ということらしい。 調べてみると、2015年にバイオミメティクスの国際標準が発効されている。 どういう内容かは知らないが、要は最近になって国際的に認められたということだ。 日本語に訳すと「生物模倣」ということになる。 従来から生物に学んだデザインというのはあった。 マジックテープ(これは和製英語で通じないらしい)は植物のひっつき虫の構造を真似して作ったものだし、500系新幹線の顔のカタチは、鳥のカワセミが空中から水中に潜る時の飛沫の少なさから、空気抵抗を研究して採用されたものだ。 そういう技術はすでにあったが、ドイツのボン大学でハスの葉の表面を研究して、セルフクリーニング効果を持った塗料を開発したり、エアバスの機体表面にサメ肌状の加工をしたりして、省エネをはかるなどの技術動向を見て、ドイツ政府が国際標準化を提案したという経緯とのこと。 こういうことを標準化しようとするのはエライ。 バイオミメティクスは、2025年には年間3000億ドルの国内総生産、160万人の雇用を生む、という予測をアメリカのサンディエゴ動物園が出している。 経済予測まで動物園がやっているとは。スゴイ動物園だ。 そういえば、昆虫の身体の制御を真似て、ロボットに応用したり、ヘビの動きを研究してどこでも移動できるロボットを作ったりしているニュースは見たことがある。 それが今や植物の表面などにまで広がっているということだ。 確かに、ハスの葉っぱはいつもきれいだからなあ。 どうして仏教国からこの研究が発表されなかったのか、残念だが…。 世の中は省エネである。 世界の人口が70億を超え、2025年には80億になるという予測。 人間がエネルギーを使うと、地球の環境が変わるほどにヒトという種は増えすぎた。 だから生き物に学んで、省エネ、効率化を実現しよう、ということだろう。 そういえば、今流行の人工知能も、脳の構造を研究することで進化したということだから、人間も対象に入っているということだ。 地球上で何十億年と種を保ってきた植物や動物。 人間など新参者だ。 彼らに習って、効率的に物事を進めよう、という技術開発。 これがバイオミメティクスだろう。 日本は見本があると、それを良くしていくというのは得意だから、この分野で貢献できるのではないか。 |
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