考えたこと2

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狐狸庵交遊録
狐狸庵交遊録 遠藤周作 河出文庫

遠藤周作のユーモア随筆集。
1968年から1988年までの20年間の随筆をいろんな所から集めている。
前半は文章も若くて面白い。
後半はちょっと年をとって真面目な感じ。
1923年生まれだから、45歳から65歳という時期だ。

ぼくが高校の頃だったか、「違いの分かる男」というコーヒーの宣伝があって、そこに顔を出していたと思う。
当時は遠藤周作というと、もっぱら狐狸庵先生というイメージで、何かわからないけれど面白いことを書いているとずっと思っていた。
カトリック信者で、その関係の小説も書いているということはずっと後になって知った。
55年に芥川賞を取っている、純文学の人だったのだ。

ぼくは遠藤周作を読むのはこれが初めて。
最初に出てくるのが吉行淳之介、続いて阿川弘之という面々。
二人とも文庫はだいぶ読んだ作家たち。
吉行淳之介がお金がないとぼやいていたり、水商売の女性にモテたりする様子が書かれている。
阿川弘之は海軍の小説をだいぶ書いていたが、軍艦オタクであることや、仲間ウチではセコいということも書いてある。
どちらも20代の頃によく読んだ作家だが、あの頃読まないでよかったと思う。
作家の実情を知ると、作品は楽しめないような気がするなあ。

柴田錬三郎も中盤で出てくる。
この人は、ニヒルでかっこいい人として描かれている。
誰が書いてもそんな感じになっている。
眠狂四郎や岡っ引どぶを書いた人だから、そうなんだろう。

一番笑ったのは、作家に仲人を頼んではいけない、という話。
自分の息子の結婚式で、むちゃくちゃな挨拶をされたという。
これは声を出して笑えた。

後半は友人や恩師などの話が出てくる。
こちらは狐狸庵というよりも遠藤周作という感じだ。

亡くなったのが96年。

どうも、この先この人の純文学は読まないような気がする。


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