考えたこと2

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ある日の休日出勤
日曜日、休日出勤して仕事をしていると、大学生が来た。
ある企業を受けるので、履歴書を書かないとイケナイから、添削してほしいという。
自分はバイトばかりしていたので、書くことがないという。
よくあるパターンだ。

その大学生は付き添いの友だちを連れてきていた。
リュックを背負ったその友だちは、資料棚の本を出して見たり、雑誌を見たりしていた。

添削は難航を極め、なかなか完成しない。
休みの日なので時間はあるというから、課題を出して、それについて今頑張って書くように言った。
ちょっと時間がかかりそうだったので、付き添いの学生に、話しかけた。

「君は就活はどうなってんの?」
「いえ、私はもう働いているんです」
「え、もう卒業したの?」
「いえ、高校を出て働いてます 同級生なんです」

このやりとりをしただけで、しっかりしているということがわかった。
目を見て話をすれば、二言三言でもどんな人かわかることがある。

「へー、そうなん。今日は○○さんの付き添いで来てくれたんか」
「そうです」
「悪いなあ、休みの日やのに…」

添削をしていた大学生とだいぶ違う。
社会に出るということが、どれだけ人を鍛えるかということがよくわかった。

自分の仕事をしながら聞いていると、その学生に見えていた社会人が、同級生の履歴書を書いている学生に言っていた。

「ここにたくさん資料があるから、それを見て勉強しぃ」

そうなのだ。
ハウツー本がたくさん置いてあるから、それを見て考えればできることもある。
大学生の方が言う。

「わたし、本は苦手やから、読まへんねん」

実際にあった話。

ぼくは複雑な気持ちになった。

どちらの人が大学に来たほうがよかったのか。

もちろん、大学に来て成長するという側面もある。
でも、社会に出て働くことで得られる成長もあるだろう。
人生にタラレバはないのだが、もしこれが逆だったらと考えた。

そう考えると、ちょっとせつなくなった。

| | 考えたこと | 21:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
マークシート入試
今の入試と70年代の入試、何が違うか。
私学に限っていえば、まずは入試の回数が違う。
一般推薦、特別推薦、スポーツ推薦、併願推薦、専願推薦、AO、一般入試A日程、B日程、C日程、センター併用などなど。
飛躍的に増えた。

そして、科目数が違う。
5科目を課しているのは私学では珍しい。
文系については国語、英語の2科目というのも珍しくない。
飛躍的に減った。

そして、記述式のテストが一部の大学を除いて、ほとんどなくなった。
マークシートの試験だ。
最近のマークシート試験を見ていると、数学などは工夫されてはいるが、丁寧な選抜という側面ではメリットは全くない。
とにかく、早く採点を済ませて、「次の入試」を受けてもらうためにやっている。
まあ、もともと入試が成立している大学での話だが…。

マークシート試験のメリットは、採点が楽ということしかない。
それはそうだろう。機械が読み取って採点するのだから、間違いようがない。
グーグルで「マークシート試験 メリット」と入れて検索してみればわかる。
出てくるページをみても、上記以外の「メリット」について書いてあるページがない。
おそらく、マークシートをよいものだと思って使っている入試関係者はいないと思う。
必要悪だと思っているはずだ。

マークシートが出てきて、入試が変わったのだと思う。
大学の先生方は自分たちは研究者だと思っているから、入試などには関わりたくないという人が多い。
多くの先生は、内心、入試は余計な業務だと思っている。
採点という仕事がなくなったことで、入試は完全に事務の業務になった。
それまでは、良くも悪くも、採点に関わることで、入ってくる学生のレベルを知ったり、入学者の課題もわかってきただろう。
そういう情報は、マークシートを導入して、なくなったのだと思う。
それも、今の多くの大学の問題点だと思う。

一部の私学では、入試の作問を外注しているから、さらに入試に関わらない。
おそらく、私学の事務サイドは、下手に先生に関わられると迷惑だと思っている。
もちろん思っているだけで、口には出さないのだが…。
下手に作問されて、間違いがあっては困るということもある。
入試の最中に、訂正の板書をしないといけなくなる。

こういう経緯を経て、入試という業務が、大学の仕事ではなくなってしまった。
入試は、入試のプロの仕事になったと思う。回数も増えて、種類も増えたからだ。
年間何回も入試をやって、早めに受験生を獲得したり、検定料を稼ごうと思うと、丁寧な仕事をやっていてはムリだ。
一般入試については、テストをやった日の翌日には採点が終わり、その次の日には入試委員会をやって、そのまた次の日には教授会を開き、合格発表をしないといけない。
そういうふうにしないと、A日程、B日程、C日程などという強行軍はできない。
受験生が減って、採点が楽な(それは不幸なことだが)学校などは、マークシートをやめても頑張れば採点が間に合うのだが、そういう学校に限って先生が入試に興味がなかったりする。

要は、マークシートのメリットというのは、大学側が入試を業務パッケージにして何度もやるためでしかないと思う。
地方入試も入れると、小さな大学でも多くの入試をやっており、それをさばこうと思うとそういうやり方しかできない。

ちなみに、京都産業大学の入試スケジュールを見てみると、前期が1月27、28、29、30日で、中期が2月14日、後期が3月10日となっている。
受けた人数は前期が約24000人、中期が約3000人、後期が約3000人だった。
この人数について、2週間ちょっとで、入試の結果を出し、学内手続きを済ませ、合格発表をしないといけない。
そして、落ちた人は次の入試の申し込みをさせないといけない。
丁寧な入試などやっていられない。
だから、必然的にマークシートでなければ、できないのだろう。

マークシートは、暗記して得た知識を確認したりする試験には向いていると思う。
しかし、今大学で言われている課題解決の能力を図るのには向いていない。
得た知識をどう使うか、というような能力が必要とされているのに、入試ではそれを測らないということだ。

センター試験など、膨大な人数の生徒の一斉試験などには、マークシートを使うしかないだろう。
これは落とすために試験ではなくて、知識をどれだけ得たかという試験だから、それでもいいと思う。
消極的賛成ということだ。

現状ではもう受験生は少ないから、記述式に戻せる学校もあるんだと思う。
でも、一度楽をしてしまうと、もう元には戻れない。
いくら記述式がいいとわかっていてもだ。
よほど志の高い教員組織がないと、ムリだろう。

もう一度言うが、マークシートの入試には、採点が早いというメリット以外何もない。

入試の改革を文科省は考えているようだが、ぼくは入試の回数を減らし、マークシートの入試をやめるという方法を推薦する。(もともと記述式のところは回数だけ減らす)

いい考えだと思うのだが…。

| | 考えたこと | 00:41 | comments(0) | trackbacks(0) |