![]() |
2019.04.16 Tuesday
世界の音楽ビジネス
IFPIという組織があるが、これは「国際レコード連盟」などと訳される。
グーグルによると、 1933年にイタリアで設立された『International Federation of the Phonographic Industry』を母体として発足したとのこと。 このIFPIによると、2018年の音楽マーケットの売上が前年を上回り、過去11年で最大のボリュームになった。 音楽ビジネスは当面調子がいい、ということだ。 2018年の世界の売り上げは191億ドルで、約2.1兆円。 2017年比で10%近く伸びたとのこと。 内訳は191億ドルのうち、112億ドルがデジタルの売り上げ。 約60%がデジタルであり、前年比21%の伸びらしい。 増加要因はストリーミングサービス。 前年比34%増しの約90億ドル。 曲を指定して有料でダウンロード販売する形態は年々減少している。 前年比で約20%減。 全体の7.7%しかないとのこと。 CDの売り上げは全体の25%。 そこそこの売り上げだが、前年比10%の減少。 単価が高いから、売り上げのボリュームは保っているものの、大きな目で見たら減る一方だ。 全体の14%を占めているのが、放送局や店舗から得る楽曲使用料。 パフォーマンス・ライツという。 けっこう大きい。 そういえば、日本でも著作権協会が音楽教室で曲を使用するのに利用料を取る、ということで去年もめていた。 これはシンクロナイゼーション売り上げと定義されており、全体の2.3%ある。 結果をまとめると、以下のようになる。 物理メデイア:25% 有料ストリーミング:37% 広告型ストリーミング:10% ダウンロードとその他のデジタル:12% パフォーマンス・ライツ:14% シンクロナイゼーション:2% 音楽を作る側にとっては、どうなったのだろう。 この結果をみると、ストリーミングが増えているということで、音楽の切り売りが増えているということかと思う。 音楽自体がコモディティ化して、希少材から一般消費財になった。 昔は気に入ったミュージシャンのレコードやCDを買って、ありがたくプレーヤーにセットし、黙って聞いたものだった。 音楽は貴重なものだった。 しかし、今やマウスで検索して、クリックすれば音楽は聞ける。 ストリーミングサービスに入っていれば、勝手に流してくれたりする。 アルバムというものも、どこまで意味があるかわからない。 ヒット曲だけ聞く、という聞き方も可能だ。 作り手も、レコード会社など通さなくても、極論すればYoutubeにアップロードすれば、自称ミュージシャンになれる。 供給が増えた分、需要も増えたということだろう。 音楽を演る人、聞く人が増えている。 そして、一曲あたりの単価は下がっていく。 今までアルバムという形で、10曲くらいセットで販売していたのが、ストリーミングで事実上のバラ売りが増えたのだろう。 以前は音質にこだわる人が多かったが、音楽のコモディティ化でそれほどこだわらなくなった。 だから、パソコンやウォークマン、スピーカーなどで十分。 大掛かりなステレオセットなど要らない。 ということで、音楽ビジネスは拡大したが、ミュージシャンは増えた分だけ儲からない。 ごく一握りのスーパースターが大きく稼ぐ。 ここでも勝者は総取りになる。 たしかに、裾野は広がったのだが、なんだか寂しいような気がする。 ミュージシャンは昔のようにカリスマであってほしかった。 |
![]() |