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2019.04.08 Monday
年功賃金
日経に出ていたが、NTTの社長が、35歳になるまでに研究開発人材の3割がGAFAなどに引き抜かれてしまう、とのこと。
NTTといえば、日本でも有数のIT企業だ。 IT系を目指す就活生なら、一度はエントリー候補に挙げる。 もちろん、図体が大きいとか、官僚的体質だから、ということで最終候補に残るかどうかは別だが…。 しかし、その企業で研究開発職をやって、10年ちょっとで3割がGAFAなどに転職するという事実。 こういうことがあるから、経団連の会長が新卒一括採用に警鐘を鳴らし、横並びの就活時期の廃止を決めたのだろう。 グローバル化した市場では、日本の賃金体系や働き方では若い人たちを引き止めておけない、ということだ。 記事にはITスタートアップ企業(ITベンチャーのようなもの)で働く人が、GAFAに転職した同僚が倍の給料をもらっている、ということで転職について考えている、と書いてある。 日本企業では自己負担のセミナーも、グーグルの社員は会社が出してくれるなどの事実もある。 これなら、悩むだろう。 日本の企業は年功序列の賃金体系だが、アメリカはそんなことはなく、IT業界なら30代がピークだという。 さらにアメリカでは、20代から50代まで平均年収は1000万を超えている。 日本は全ての年代で平均年収は800万以下。 30代では倍以上の差になる。 グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社の頭文字を集めたのがGAFA。 30代で倍の年収なら、そこに人が集まるのも、もっともだ。 この差はアジアでも大きくなっている。 データサイエンティストの年俸の最高額は中国で約1660万円とのこと。 日本では1200万円。 IT業界の平均で比べると、インドが9倍、中国が7倍らしい。 NTTでは遅まきながら別系統の賃金ラインを作ったとのこと。 AIの人材を雇うためだ。 もちろん、そういう社員は無期雇用(定年まで働ける)ではない。 成果報酬が厚くなっている。 そうしないと、今の正社員が納得しないという面もある。 しかし、どこかで折り合いをつけて、若い有能な人を雇わないと、海外の会社に勝てない。 2000年代に入って、グローバル化が進んだ。 当初グローバル化といえば、生産拠点を海外に移すことだった。 安い労働力を確保するためだ。 しかし、どんどん時代は変わってきた。 今や日本の技術者が高い給料で取られていく。 日本の年功序列、終身雇用のシステム自体が陳腐化していっているのだ。 70年代から80年代にかけて、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代があったが、もはやそんな成功体験は捨てないといけない。 なかなか捨て去るのは難しいが、ようやくそういう時代になってきた。 |
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