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2012.08.16 Thursday
消費者の視点
消費者という言葉は、高度成長に伴って大量生産・大量消費が当たり前になり、生産者側が強くなりすぎていろいろな問題が起こり、そのためにできた言葉だと思う。
Wikipediaによると、「1968年5月には消費者保護基本法が制定された。これは消費者のための憲法とも言われることがあるものであり、これによって行政・事業者・消費者それぞれの役割が明確化された。それまでの「産業優先」に凝り固まった考え方から消費者優先の原則へと移行し、消費者行政の基礎が体系づけられ、消費者保護に関する基本的方向が示されたのである。」と書かれている。 1960年代の半ばくらいから、大量消費の時代に入ったということか。 それは高度成長の時代でもあった。 そして、2012年。 ぼちぼち低成長の時代だ。 それを認めないと仕方がない。 これから人口が減って、アジア各地に生産が移行し、下手をするとマイナス成長の時代になる。 これまでは生産者は強く、強大で、少々のことでは動じないものだった。 しかし、これからは生産者も厳しくなる。 家電などすでに苦しい。 今日日経にスマートフォンの世界シェアが出ていたが、そこに日本のメーカーは1つもない。 アップル、サムソン、ノキア、RIM、そして中国のメーカーが出ていた。 すでに、そういう状態なのだろう。 今の反原発の動きを見ていると、消費者の視点ばかり主張される。 生産にタッチしていない人の声が大きいのではないか。 国会議員や公務員、学生や子供を抱えた主婦、老人など。 サラリーマンは疲れてそんなことに関わっていられない。 町工場のおじさんや、工場の関係者は電気代のことが気になっているだろう。 そもそも、電気が足りるのか、という気持ちもあるだろう。 この夏、原発が動いてホッとしているに違いない。 経団連の会長も「エネルギー問題が経済成長の足かせとならないように、今後3年から5年の電力確保の道筋を明らかにするべき」と言っている。 多少なりとも生産にタッチしている人は、この意見に同意しているだろう。 今の社会、電気がなければ何もできないに等しい。 社会のインフラも電気に依存している。 これは事実だ。 携帯電話も、基地局にバックアップの電源がなければつながらない。 信号も止まる。 石油ストーブもファンヒーターは電気がなければ動かない。 非常用の電源がない病院は手術もできない。 オール電化にしていれば、料理もできない。 マンションなどは、ポンプが動かないから水道も出ない。 もちろん、電気自動車の充電もできない。 ガソリンスタンドも給油機が動かない。 POS端末が動かないから、コンビニやスーパーで買い物もできない。 今の社会は電気があることが前提になっている。 長い時間をかけて、世の中が便利になったというのは、結局電気の力を使っているからだ。 今、レジでバーコードを読めなければ、合計の計算もお釣りの計算もできない。 アルバイトにそんな能力はない。 そんな生活を送っているということが、わかっていないのだろうか。 自分だけ、電気を我慢したらいいとか、自分だけ電気代が上がってもいいとか、そんな考えでいるのではないか。 もちろん、事は自分だけではすまない。 一番大きいのは雇用の喪失だ。 電気代が上がれば、工場は海外に出ていく。 それでなくても、出ていきたいのだが、いろんな事情があって国内に留まっているところが多いだろう。 そして、出て行けないところは潰れる。 何とかふみとどまっている製造業が出ていってしまう。 今すぐ原発を止めろという人は、そんなことは望んでいないというだろう。 しかし、結果的にそうなる。 いずれ、電気があっても、アジアに出ていく企業は増える。 本社を法人税の安いところに置くところも出てくるだろう。 まさにグローバル化なのだ。 しかし、それを早めてどうするのか。 グローバル化しても、国内に残るような産業を模索する時間が必要だ。 もっと生産者のことを考えるべきだ。 ぼくはそう思う。 |
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