![]() |
2013.01.16 Wednesday
コクリコ坂から
ジブリの映画。
昭和30年代の高校生の話。 カルチェ・ラタンという古いクラブハウスを取り壊す、という騒ぎに絡めて当時の高校生活を描く。 コクリコ坂の上の下宿屋の娘と、学校新聞の主筆の少年の恋のお話。 きりっとした目の高校2年生の少女が主人公。 ネタバレするから多くは書けない。 東京オリンピックが開催されることが決まっているという時期。 日本が戦後立ち直った頃だ。 この頃の高校生の生態が描かれる。 たくさんの文化部があった。 数学部、哲学部、天文部、新聞部、物理部、美術部、討論部…。 現在の高校とはだいぶ違うだろう。 今はそんなに文化部があるだろうか。 今の高校は、運動部が主で文化部は付け足しみたいになっていないか。 指導する先生がいるだろうか。 運動部の価値は認める。 しかし、そればかりでは片手落ちだ。 脳みそが筋肉になってしまう。 よく、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」というが、これは実は反語であって、「健全なる精神が健全なる肉体に宿ればよかったのに…(宿っていない)」ということだと聞いた。 運動ばかりして健全な肉体を作ると、そこには健全な精神は宿らないということだろう。 健全な精神のためには、身体を動かす事よりも、静かに本を読んだり、だべったりすることが大事だ。 あの当時の文化部。 哲学談義をしているやつ、ガリ版を切って新聞を発行するやつ、実験着を着て実験をしているやつ…、いろいろいた。 それが、カルチェ・ラタン(解放区)というちょっと政治的な、学生運動の香りのするクラブハウスの建物を絡めて描かれている。 あの時代は、そういう時代だった。 高校生も政治や文化に関心を持っていた。 だから、映画の中でカルチェ・ラタンの取り壊しをやめてもらうために、理事長に直訴に行く。 理事長に、「学校はエスケープしてきた」という。 理事長はそんな生徒をおもしろがる。 多少デフォルメされているが、今の大学生よりもよほど文化的だ。 それをわかってほしいと願う。 あの頃の文化部を取り戻してほしい。 もう少し政治にも関心を持ってほしい。 バラエティを見てバカみたいに笑っている場合ではないのだ。 そういうカルチャーが高校生にあった。 それを思い出させる映画だった。 |
![]() |