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2013.01.27 Sunday
笑える小説
何かを書いて泣かせること、これはわりと簡単だ。
泣きのつぼはわりと口が広い。 いわば、広口の花瓶のような感じだ。 でも、何かを書いて笑わせること、これは難しい。 笑いのつぼはかなり口が狭い。 試験管のようなもの。 よほど場面を共有していることでも、書いたもので笑わせるのはかなり高度だと思う。 映画でも、メロドラマの方が簡単、といっては語弊があるが、一般的にはそうだと思う。 以前、「鉄道員(ぽっぽ屋)」という映画を見たが、途中から「ああ、これはこういうストーリーで泣かせるんだろう」とわかる。 結局、予想通りの結末で、泣かされる。 音楽を使うのも手だ。そういう曲をバックで流せばいい。 人間、悲しいと思うシチュエーションはわりと類型化されていて、「泣きのスイッチ」を入れればいいのだ。 だから、書いたものでも、そのスイッチを入れるようなストーリーにすればいい。 しかし、コメディは難しい。 それも、ストーリーで笑わせるというのは非常に高度だと思う。 映画などでは現実を誇張して見せることで、大きな笑いを取ることができる。 ある意味、特撮という手法を使っている。 また、コントのような掛け合いを使って笑わせる方法もある。 これは漫才を映画の中でやるようなものだ。 これは掛け合いの内容、スピード、間で決まる。 しかし、純粋に「書いたもの」で笑わせる、というのは難しい。 ぼくが初めて小説を読んで笑ったのは、20歳前後。 筒井康隆の一連の短編集だったと思う。 「笑うな」という短編集はたしかに笑った記憶がある。 笑う、といっても、にやっとするというレベルではない。 声を出して笑うというレベル。 それ以外にあっただろうか…。 なかなか声を出して笑う、という小説はないと思う。 それほど、文字が伝える情報量は少ない。 マンガのように、絵を使えばわりと簡単なのだが…。 落語のネタを書いた本があるが、これは全く面白くない。 文字だけで笑わせるコツ、というのはあるのだろうか。 これがわかれば、かなりの発見だと思う。 |
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