考えたこと2

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日経新聞の学歴フィルター記事
日経新聞に「採用の学歴フィルター「親ガチャ」逆転を阻むな」という記事があった。
ハナマルキャリア総合研究所の代表である上田晶美氏の署名記事。

読んでいて、ちょっと驚いてしまった。
新卒採用時の企業の「学歴フィルター」について書いている。
学歴フィルターというのは、この場合学歴(入学難易度を表す大学の偏差値)によって受ける学生を選別する、ということ。
主に大人数を採用する大企業で、採用予定者を大学別に設定して、効率化を図っているということだ。

今回、マイナビという就職支援の会社のメールで、題名のところに誤って偏差値別の大学群を表す言葉を入れたまま発信してしまった。
そのことを言っているのだろう。
おそらく、マイナビのメール発信担当者はエライことになっているとは思う。

上田氏は学歴フィルターに対して、「一般企業なら何をしてもいいという意見は通らない。特に大企業には公共性が問われてしかり。会社員が大半を占める我が国において、就職に関する機会の均等化は必須であろう。」と書いている。

驚くべき意見だ。
自社の採用に対して、こんな事を言われたら、人事担当者はたまったものではない。
大企業といえども、公共の利益のために、採用活動をやっているのではないからだ。

人事担当者も、全ての学生を面接できれば学歴フィルターなど要らないが、面接のキャパシティーを超える応募者があった時に、何らかの手段で応募者を減らさざるを得ない。
それがエントリーシートの場合もあれば、学歴フィルターの場合もあるということだ。

もちろん、それを大手を振ってやっているわけではない。
だからこそ、隠してやろうとしていたのだろう。
しかし、そういうことをやるからといって、非難するにはあたらないと思う。

上田氏はこうも書く。

「ある教育機関の調査によれば、小学5年時の偏差値と高校3年時の偏差値は相関関係が高いという。小学5年生の偏差値は家庭環境に大きく左右されるものであり、それは「親ガチャ」に他ならない。
「親ガチャ」を逆転できるのは就職である。そこに学歴フィルターが大きく影響しているとなると、格差の固定化を助長していることになりはしないか。」

「親ガチャ」というのは、生まれもった環境や能力によって人生が大きく左右されるということから、「生まれてくる子供は親を選べない」ことをランダム要素の強い「ガチャ」になぞらえて言っているものだ。

問題はあるにせよ、これだけ大学の偏差値というものが世間で通用しているというのは、それが何らかの意味を持つからだ。
だからこそ、やむを得ずそれで応募者を減らすことの何が悪いというのか。
上田氏も就活の関係者なら、その意味を感じる場面もあったはずだ。

企業はたしかに「何をしてもいいという意見は通らない」と思う。
しかし、採用活動の目的はできるだけいい人を取ることであって、それは公共の利益のためにやっているのでない。
自社の利益のためなのだ。
そのために、法的に許されていることは何をやってもいいのは事実。

今回、それが誤って外に出たのはあくまで人為的ミスだろう。

大手を振って言えるものではないが、それがわかったからと言って「就職に関する機会の均等化」を振りかざして非難するのはおかしい。
採用活動というのはもともと客観評価ではない。
税金が入っている大学の入試ではないのだから、機会を均等にする必要もない。

日経新聞の編集者はいったい何を考えて掲載したのか、理解に苦しむ。


| hdsnght1957kgkt | 考えたこと | 21:14 | comments(0) | trackbacks(0) |