![]() |
2006.01.30 Monday
読み書きそろばん
昨日「数」はどこにある、と書いたが、「言葉」も同じだ。
実体はない。存在しないものだ。 紙の上に書かれた言葉は、実際には紙の上に乗っているインクや鉛筆の炭素でしかない。 こうやって、見えているものも、実体はディスプレイの上の黒い点の集まりでしかない。 いろいろなものに、人間が名前を付けたり、伝えたりする仕組みの総体が「言葉」になる。 チョムスキーというアメリカの言語学者は、人間の脳にはもともとあらゆる言語に通じる文法が備わっている、と言っている(と思う)。 言葉とそれを操る能力は、人間だけに備わった、高度な脳の仕組みであるという事だろう。 批評家の小林秀雄は、「美しい花がある。花の美しさというようなものはない。」と言った。 実体があるのは、花というモノであり、「美しい花」という言葉は、それを名付けるために人間の頭の中にだけある。 まして、「美しい」というような言葉は、カタチのないものをあらわしている。 考えはじめると、わけがわからなくなる。 人間の発生する言葉も、実体は空気の振動でしかない。 結局「言葉」というものも、「数」と同じく、人間の頭の中にしかないものだ。 「数」と同じく、最も人間らしいものが、「言葉」ということになる。 「読み書きそろばん」とはよく言ったもので、「読み書き」が「言葉」、「そろばん」が「数」につながっている。 本を読むこと、文章を書くこと、計算すること、これがすべての基本だ、と言っているんだと思う。 人間らしさを身につけるためには、やっぱり「読み書きそろばん」である。 昔の人はエライ! |
![]() |