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2019.02.12 Tuesday
SNS炎上の心理
最近、たむらけんじというお笑いタレントが来たラーメン屋で、店主が写真撮影をさせてもらったあと、ツイッターでつぶやいて、炎上するという出来事があったらしい。
店主は「マイク、カメラなかったら、おもろないやつでした」ということをつぶやいたという。 店主が失礼だと思うが、お笑いタレントだって始終おもろいわけではなく、それは当たり前だと思うのだが、これに対する反応がスゴイ。 一日に1000件以上嫌がらせの電話がかかってきて、本当かどうかはわからないが、店主の個人情報まで拡散されているとのこと。 ここまで来ると、ちょっと怖い。 たかが、お笑いタレントの悪口(というと語弊があって、炎上するかもしれないが)くらいで、ということだ。 世の中には、不満があふれていて、それがちょっとした拍子に爆発する、という感じ。 炎上騒動に加わった人たちがみんな、たむらけんじのファンで、プライベートのたむらがおもしろくない、といわれることに怒りを感じてツイッターでつぶやき、嫌がらせの電話をかけたとは思えない。 個人的には、そんなに面白い芸人でもないと思うし、ぼくは一度も面白いと思ったことはない。 どちらかというと、なぜ彼が売れるているのかがわからない。 だからといって、プライベートで行ったラーメン屋の主人にそう言われてもいい、とは思わないが…。 こういう炎上騒ぎが大きくなれば大きくなるほど、無関係の人が加わるのだと思う。 その沸点を超えると、もうコントロール不能になるのだろう。 別にたむらけんじのことなど、どうでもよかった人が、便乗してラーメン屋の店主のことを叩く。 叩けばそれが拡散して、ひょっとしたらフォロアーが増えるという計算もあるかもしれない。 さらに、炎上仲間とつながったような気になれるのだろう。 まあ、普段面白くもないタレントが、私生活でおもしろないやつ、と言われても当たり前やん、で終わるところがそれでは終わらない。 この場合は明らかに店主が悪いのだから、それは制裁すべきということになる。 実際、1000件も嫌がらせの電話がかかってきたら、もう制裁されていると言えると思う。 店主もツイッター上でつぶやくから、こんなことになる。 店主の側も、こういうことをつぶやけばフォロアーが増えるとか、同意する人がいるはず、と思ったのかもしれない。 この騒動を分析しているページがあった。 それによると、この原因は主に2つあるという。 ・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の発達とインフラ化によって、私たちはインターネットのコミュニケーション空間からのデタッチメント(分離の意)が困難になり、「どうでもいいこと」に粘着しやすくなっている ・社会的なつながりの希薄化、社会的な承認の不足によって、私たちは自己肯定感が持ちにくくなっており、不安やストレスにさらされた際の避難所(シェルター)的な場所が限られる状況下で、SNSへの依存度合いが高まっている まあ、そうだろうと思う。 ぼくはこの中で、社会的な承認の不足、というのが大きいような気がする。 そしてそれを煽っているのは、他でもないSNSなのだろう。 「いいね」がついた数を気にし、フォロアー数を気にして生活していると、そうなると思う。 実際、インフルエンサーという極めてフォロアー数(友だちの数と言ってもいい)が多い人たちは、ひと言で何万人もに影響を与えることができる。 身近な自分と比べられる人がプチインフルエンサーになっていたりすると、自分もなりたいと思う。 フォロアー数が、社会からの承認だと思うのだろう。 インフルエンサーは下手をすると、購読数の少ない新聞や雑誌よりも、影響が大きい。 マスコミが第4の権力というなら、インターネットのインフルエンサーも同じ扱いなのに、それが個人の考えだけで拡散する。 今や一部のマスコミも同じレベルに落ちたと思う。 悪貨は良貨を駆逐するのだ。 どうしてもリアルの生活が充実していないと、ネットに依存する率が上がり、そこで社会的承認を得ようとする。 ひいては、それが社会のコンセンサスを作るところまで行くと、衆愚政治ということになる。 ラーメン店主は確かに悪いが、それがここまで増幅されるのはそういう病理があると思う。 ひいては、これがインターネットの時代、民主主義のアキレス腱になる。 フェイクニュースを識別したり、こういう炎上を防いだりする技術はこれから大事になると思う。 |
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