考えたこと2

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FIRE
アメリカの若者の間では、FIREという言葉が流行っている。
FIREとは「Financial Independence, Retire Early(FIRE=経済的自立と早期退職)」のこと。

それを狙う人たちは家計を切り詰めているという。
40歳で200万ドル(2億円以上)貯めないといけないらしい。
そのために野菜や果物は廃棄寸前の安いものを買う。食費は月に75ドル前後とのこと。
ガソリンを節約するために、徒歩通勤。
ネットのストリーミングもパスワードを友人から借りて見ている。
ただ、FIREを考えている人たちは、それなりに高給取りだ。

FIREの支持者は2000年代以降に成人になったミレニアル世代や、ジェネレーションXのうち若い世代だから、1970年代生まれということだ。
今の年齢で、40代より上ということだ。

今のアメリカの退職はだいたい65歳。
日本がこないだまで60歳だったことを考えると、長く働いている。
その退職者の多くは老後の備えが準備できていない。
その上、高齢者は多くの負債を抱えているらしい。
それを目の当たりにしているから、FIRE(早くお金をためて、引退しよう)ということになる。

しかし、強烈なインフレや株価の暴落などがあったら、たちまち計画は成り立たなくなる。
そんなリスクをはらみながらも、FIRE信奉者は増えているらしい。

彼らは、親の世代の、大量生産、大量消費はもうダメだと思っている。
倹約し、お金を貯めるのだ。
目標は「仕事への復帰を強いられなくて済むような生き方に挑戦すること」だという。

ちょっと危なっかしいような気もする。
貯蓄に頼ることになるからだ。
働ける間は働くことが、貯蓄のみに頼るリスク回避の唯一の道だと思う。
急な病気になったりしたらどうするのだろう。
ある人は、退職後はAirB&B(ネットの民泊)で1年のうち10ヶ月は海外を旅行するというが、それで人生を満足できるだろうか。

「残りの人生を自由に生きる」というのが、FIREのコンセプト。

一方で、アメリカの経済を支えているのは旺盛な個人消費なのだから、FIREの信奉者が倹約生活をすればするほど景気は悪化する。

FIREを信奉するミレニアル世代は、金融危機などの影響で、資本主義や自由な市場への猜疑心が強いとのこと。

当たり前だが、アメリカもずっと同じアメリカではないということか。

しかし、40歳で仕事を辞めるというのもなあ…。





| | 考えたこと | 21:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
社内失業者
民間企業では、事務の効率化を進めている。
パソコンが導入されて2000年代あたりにだいぶ進んだが、それからさらに進めようということだ。
巷で取りざたされているAIはまだまだ特定の職場だけだが、RPAというロボティクス・プロセス・オートメーションというのが、ぼちぼち主役になる。

RPAというのは、決まったパソコンの操作を自動化する、というもので、今まで人がやっていたことをそのまま自動化する。
エクセルのマクロプログラムみたいなものだ。

銀行あたりでそれらが導入されて、事務がどんどん効率化しているようだ。
もちろん、IT企業でもやっている。

去年の10月、富士通はグループで5000人の大規模な配置転換を発表した。
転換される対象部署は人事、経理、総務などの間接部門。
その人たちを営業やシステムエンジニアに異動させるという。
要するに、管理部門を効率化して余った人を実働部隊に組み入れる、ということだ。
富士通の間接部門は2万人というから、25%を異動させるということで、規模は大きい。

長いこと間接部門で働いてきたら、いきなり営業やSEにというのは難しい人もいるだろう。
特に、中高年の間接部門の社員は難しいと思う。
実際、富士通では無理な人は新しい道を切り開いて…、と言っており、事実上の転職の勧めだと思う。

転職サイトなどで、中途退職者の声を聴くと、わりと多いのが「そんなに働いていない中高年が余っている」という声。
その人たちが年功序列で高い賃金をもらっているのが不公平だ、というものだ。

今回の富士通の措置はそういう声への対策もあるのだと思う。

ソフトバンクも同様だ。
通信事業の社員6800人を新規事業に配置転換する計画。
こちらもRPAによる余剰人員だという。
まだ新規事業に転換するだけましだとも言える。

みずほ銀行では、RPAなどで余った人員1万9000人を削減する予定。
三菱UFJ、三井住友も同じような業務量削減を言っている。
削減された業務をやっていた人がどうなるかはわからない。

これから働く人が減って、優秀な人材の確保は難しくなる。
そういう人材に来てもらおうと思えば、社内の効率化を進め、年功賃金を見直すしかない。
その第一歩が、富士通やソフトバンクの動きだと思う。

最も保守的だった銀行も、そういうことをやらないと生き残れない、ということだ。
メガバンクは特に学生の人気がなくなったから、早めにやろうとしているのだろう。

だぶついた中高年をどう配置転換するか。
新卒一括採用、年功序列賃金の制度がもう疲労している。
毎年会社は大きくなっていかないし、部署も増えないし、ポストも増えない。

だぶついた中高年のために、無理やりポストを作れるような時代ではない。
そんなことをしていたら、生産性は上がらないし、優秀な若い人は来ない。

ようやく、日本の硬直した雇用制度も変わり始めていると思う。

余った中高年を社内の新規事業で吸収するか、それとも社外で人が足りないところに転職するか、方法はいろいろあるだろう。
その制度設計をしないといけない。

そうすれば、まだまだ外国人に頼らなくても、雇用は確保できる。

痛みは伴うだろうが、それしかこれから日本が生き残る道はないと思う。



| | 考えたこと | 00:09 | comments(0) | trackbacks(0) |