2017.06.07 Wednesday
メールの効率化
世界のIT企業のトップに位置する会社といえば、グーグル、と答える人が大半だろう。
ユニークな入社試験をやったり、立派なカフェテラスが無料でサービスされたりして、遊び心を大切にしている会社のように見える。
それでいて、人工知能などの技術で世界をリードしている。
そのグーグルではあまり電子メールは使われていないらしい。
会社勤めをしていた2000年当時、メールの量はどんどん増えていた。
自分宛のメール、自分が写しでもらうメールなど、何人もの人からメールが来た。
自分の仕事と直接関係している人の数は、ざっと見積もって50人程度。
その周辺で知っている人がさらに50人程度。
その人たちが直接発信するメールもあれば、その人たちが写しでもらったメールを転送してくれたりする。
夜帰る前にメールチェックして、朝になると未読のメールがある。
昼にかけて、どんどん来る。
メールのチェックで日が暮れる、という状態。
その分、電話は鳴らなくなった。
FAXも激減した。
実際、膨大なFAXをコピーして配布するパートさんもいなくなって、人件費は減った。
ITによる効率化は、そういう進み方をする。
中抜きをしていくのだ。
仕事と仕事の間の処理をなくしていく。
ある時、ぼくらよりももっと大量のメールが届く人と話していたら、その人は差出人で読むメールを決めている、とのことだった。
朝会社に来て、メールを見て、まず読まずに捨てるメールを処理する。
宛であろうが、写しであろうが、構わずに差出人を見て自分が必要と思う人からのメールを残して、他はみんなゴミ箱行き。
そういうやり方をしても、まだまだ何十通も残る…ということだった。
たしかに、部下が増えるほどメールの数は増える。
今までなら紙で送っていたり、電話をしたりしていたことがメールに置き換わった。
紙の時代なら、もったいないから順番に判子を押して回していたような文書も、メールなら同報だ。
社内を飛び交う情報は、見えなくなったが、どんどん増えた。
今はみんなどうしているのかわからないが、メールの処理は大変な仕事になっている。
自分なりの方法で分類して、対処しているんだろう。
しかし、Gメールを開発したグーグルで、メールがあまり使われていないというのには驚いた。
てっきりメールが飛び交っていると思っていた。
グーグルの担当者はメールでいちいちやるのは遅いという。
会議をしたら、共有文書の上に会議をしながら報告書を作っていくらしい。
会議のメンバーがみんなスクリーン上の共有ドキュメントを見ていて、各々書いていくということらしい。
なるほど、それなら会議が終わると同時にみんなが納得できる議事録ができる。
クラウドをどんどん利用して、進捗管理なども共有している文書上で行う。
そうすれば順調に進んでいれば、ミーティングは必要ない。
一つのものをクラウド上で共有することで、問い合わせのメールも減るし、会議も減る。
これがクラウドの力だろう。
また、社内に小さなミーティングができるスペースがあって、そこで会って話ができるようになっているらしい。
それはなぜかというと、「顔を合わせて話すほうが早い」ということだ。
ほんの10分会えば、ムダなメールの長いやり取りなど不要になることも多い、という。
その通りだと思う。
メールは便利だが、手間がかかる。
そのために、社内クラウド上で文書を共有する。
ちょっとした時間でも会って話ができるスペースがある。
なるほど、そういうことか。
仕事でメール疲れをしている人は多いと思う。
それを解決するには、共有文書を作ること、そして、手間を厭わず会って話をすることだ。
メールは持ち帰り文化だという。
それをやめて、その場で解決しようというのがグーグルのやり方。
なかなかエライ。
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