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2017.05.26 Friday
認知症と仕事
認知症の高齢者がカーディーラーで洗車の仕事をして、謝礼(給料ではない)をもらう、ということをやっているところがあるらしい。
NPOの介護施設で、そういう事をやっているのだ。 具体的には地域密着型通所介護のデイサービスで、認知症と診断された人が、施設で行うレクリエーションに「仕事」を取り入れているとのこと。 興味深いのは、その施設に来たときには精神的に不安定で、口数も少なかった人が、笑顔を取り戻したこと。 仕事を取り入れることで、無表情だった人が笑顔になる、という。 この施設は仕事の報酬をもらっているわけではない。 厚労省からデイサービスの免許をもらっているのだから、その利用者に仕事はさせられない。 だから、厚労省に何度も足を運び、「2011年から介護保険制度でサービスを利用する人が仕事をすること、および、活動による謝礼を受け取ることが認められるようになった」とのこと。 今は仕事をした報酬は、地域の最低賃金を超えない額で、直接利用者に謝礼を渡される。 洗車のメンバーで、4年目になる人は当初気分の波が激しく、怒ったり落ち込んだりしていたが、今は大笑いすることも多くなり、今は「認知症になってもこわくないよ」というまでになったとのこと。 厚労省に足を運んで、そういうサービスもありにさせた人はエライと思う。 仕事をして誰かのためになることは、やりがいにもつながるし、それが笑顔を生むのは自然なこと。 こういう介護サービスはいいと思う。 認知症という病気はあるが、まだ原因がわかっていない。 脳の中のナントカという物質が増えるとダメだとか、原因を調べているが、今のところはっきりとした因果関係はまだわからない。 認知症になった人は脳のナントカが増えているが、なってない人で増えている人もいる、ということだ。 こういう事例を見るにつけ、認知症には外部要因もあるんだと思う。 人間は関係の中で生きているから、それがなくなるとおかしくなるんだろう。 人間関係の質とか量が関係しているのではないか。 若い頃にたくさんの関係の中で生きていて、それが急に減ったりすると悪いのではないか。 もともと少ない関係の中で生きている人は、なりにくいとかあるかもしれない。 ペットを飼うのもいいとか、ありそうだ。 その意味では、AIを使った話し相手のロボットなど有望だと思う。 認知症患者のヒストリーを調べて、関係の増減を見てみたら、なにかわからないのだろうか。 医者に任せていたら、器質的なことばかり調べて、大事なところが忘れられるような気がする。 こここそ、社会学者の出番ではないか。 |
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