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2016.05.08 Sunday
追悼 冨田勲
5月5日、冨田勲が亡くなった。
84歳だった。 ぼくにとっては、冨田勲といえばシンセサイザー草分けだ。 1974年にクラシックの「月の光」を出した。 その当時、FMの番組でその曲の解説をしていたのを何気なく聞いた。 アルバムの中に口笛の音が出てくるのだが、それをどうやって作るかというようなことを話していた。 音の波形を決め、基本の口笛の音を聞いても、全く口笛らしくない。 そこに、いろんなフィルターをかけて、口笛らしくしていく。 最後に、人間は口笛を吹くとき、音を正確に出せないからちょっと低めの音程から上げていくんだ、という解説があって、ちょっと上がりすぎたところで今度は下げるというフィルターをかける。 エンベロープフィルターというやつだが、それを調整すると見事に口笛になる。 これを聞いたのがシンセサイザーに興味を持ったきっかけだった。 当時のシンセサイザーは単音で、アナログの回路のかたまりで、ムーグというアメリカの博士が作った楽器だった。 原理は簡単で、音の基本波形を発生する発振器、その周波数フィルターと、振幅のフィルター、時間で作用するフィルターを組み合わせて音を作るという仕組みだった。 1つずつそのフィルターをかけていくと、その波形が変化し、音が変わっていく。 VCO、VCF、LFO、ADSRなどという用語が面白くて、一度触ってみたいと思っていた。 その後、ローランドやコルグという日本のメーカーが単音のシンセサイザーを作りはじめ、アナログの時代が終わって、デジタルになり、80年代に花開いたと思う。 今でも80年代のポップスを聞くと、当時のシンセサウンドが出てくる。 冨田勲はそのシンセの音作りのパイオニアだった。 単音のシンセサイザーをいくつも重ねてシンフォニーを作る。 今考えると、シンセサイザーとの出会いはあのFMラジオだった。 合掌。 |
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