カリフォルニアというと、ロス・アンジェルスがあるところ。
アメリカの西海岸だ。
そこに、たいがいの日本の自動車メーカーの拠点がある。
もちろん、東海岸のデトロイトなどにもあるのだが、西海岸が優勢だ。
なぜかというと、カリフォルニアを制した自動車は、世界を制することができる(可能性がある)、というほど環境規制が厳しいからだ。
アメリカ自体がそうだが、特にロス・アンジェルスでの移動手段は自動車がメインであり、環境汚染には敏感になっている。
一昨年、トヨタとBMWが環境技術の提携をしたが、そのニュースにも「BMW社がトヨタ自動車と提携した背景には、世界各地で進行する自動車に対する環境規制の強化があります。特に米国カリフォルニア州のZEV(zero-emission vehicle)規制が強化され、BMW社も規制対象になることが提携の大きな要因にあるのではないでしょうか」と書いてあった。
日経ビジネスにシリコンバレーの近辺の通勤の風景を観察した結果がレポートされていた。
カリフォルニアにはフリーウェイ(日本の高速道路。アメリカではタダなのでフリーウェイという)での「カープールレーン」というシステムがあるらしい。
「カープールレーン」とは、もともと1台の車に二人以上が同乗して、渋滞を緩和するためのものだ。
しかし、「カリフォルニア州は環境対策の一環として、一定の基準を満たしたエコカーならば、1人乗りでも走行できるようにした。」とある。
要はエコカーなら一人でカープールレーンを通行してもいいよ、ということが法制化されているのだ。
実際に他のレーンが渋滞している時でも、カープールレーンだけはスムーズに車が走る。
エコカーはまだまだ普及していないし、値段が高いからそんなに走っていない。
だから、混まないのだろう。
レポートによると、
「渋滞するほかの車線とは対照的にスムーズにクルマが流れていく。米テスラ・モーターズのEV「モデルS」と日産自動車のEV「リーフ」、トヨタ自動車の「プリウス」はデザインが特徴的で遠くからでも一目で分かる。ガソリン車とEVのデザインを共有しているクルマは見分けがつかなかった。
結果はEVの圧勝。頻繁にEVが通過し、途中バイクに乗った警察官に尋問された際には会話の途中にEVを見落とさないか焦ったほどだ。日産のリーフが64台、テスラのモデルSが28台、「プリウス」は37台。プリウスの場合、2010年モデルまではHV(ハイブリッド車)でも通行証を得られたため、カープールレーンを走るプリウスの過半がHVと見られる。最先端のエコカーが走る場所で、トヨタのPHVやHVは脇役になっていた。」
と書いてあった。
要はアメリカの環境最先端の(金持ち)ユーザーは、ハイブリッドカーではなく日産のリーフやテスラのEV(電気自動車)を選び始めたということだ。
アメリカの1ガロン(約3.8リットル)あたりのガソリンの価格推移を見てみると、90年代には1ドルちょっとだったのに、2005年には2ドル台に、2011年からは安定して3ドル台になっている。
20年間で3倍になったということだ。
だから、日本車の得意な低燃費の小型車が売れるんだろう。
3倍は大きい。
ガソリンを垂れ流して走るような、大きなアメ車の時代は終わってしまった。
まさに、古きよきアメリカになってしまった。
日本でもガソリンは100円ちょっとだった時代もあったが、長いこと120円くらいだったのに、今は169円というのが近所のスタンドの値段。
円高に助けられていたのが、少し円安になったのと、元々の原油価格が高騰しており、これからも上がるのは仕方ないだろう。
高校の時に習った「需要と供給の法則」に従うと、単純には車の数が増えると石油の値段は上がるということだ。
今、世界の各地でモータリゼーションが起ころうとしている。
でも、ガソリン価格が上がると、それはムリだ。
だから、自動車メーカーは先を見て、エコカーを開発している。
もちろん、環境汚染のこともあるが、メーカーの大きなインセンティブは「もうガソリンを食う車は売れない」ということだ。
その証拠に、シリコンバレーのグーグル本社の駐車場は電気自動車だらけ、とのこと。
こないだトヨタがFCV(燃料電池車)をアメリカで来年売り始めると発表していたが、それもこの記事をみると、なるほどと思う。
700万円でも、カリフォルニアでは売れるかもしれない。
ただ、燃料電池は水素を使うので、水素ステーションが必要になる。
でも、グーグルなら駐車場に作るかもしれないなあ。
最近、ハリウッドスターのインタビューなどを聞いていると、「プリウスに乗っている」という人がちらほらいる。
これには、そういう規制も理由になっているのかもしれない。
エンジンからハイブリッド、そして電気自動車、次は燃料電池を搭載した電気自動車になると言われている。
クルマの超最先端では、もうエンジンの時代は終わったのかもしれない。
たくさんの部品をメカニカルに組み合わせて、機械工学、熱力学などの知恵を総動員して作ったエンジンの時代に、もはや終りが予想されるとは、ポルシェ博士も思っていなかっただろう。
でも、ぼくが生きている間は、まだまだガソリンエンジンの時代だと思う。
息子たちの時代は、どうなるのか。
その次の世代は、どうなるのか。
もちろん、石油がなくなったり値段がもっと高騰すれば、全ての産業が変わる。
これからの時代は「脱石油」がキーワードになるなあ。