ウチは両親ともにギターを弾くという、当時珍しい家だったので、生まれたときからギターがあった。
それがぼくとギターをつなぐ縁になった。
中学2年の時に「白い色は恋人の色」のメロディを初めて弾いた。
家にあったガットギター。
その次にジョーン・バエズの「ドナドナ」でアルペジオを覚えた。
Am、E7、Dmの3つのコード。
そして、時々新譜ジャーナルやヤングギター、ガッツなどという雑誌を買い、ブラザースフォー、サイモンとガーファンクル、そしてビートルズというような順番だった。
吉田拓郎、井上陽水なども聞いていた。
モーリスのフォーギターを買ってもらったのが、高校に入るときだったか…。
「スカボロー・フェア」や「4月になれば彼女は」、「旅の宿」、「アンジー」、「ミッシェル」…。
懐かしいなあ。
この頃のぼくは、「ギターが弾ける」という事に助けられた。
それが自分の自信になった。
そして、エレキギターを買ったのは19歳のとき。
京都の十字屋という楽器店で、成人式バーゲンに行って、1万5千円くらいだったと思う。
黒のレスポールモデル。グレコという会社が作っていた。
アンプはお金がなくて買えなかったし、下宿で音を出せるような状態ではなかったから、アンプをつながずに弾いていた。
その頃はユーミン、ハイファイセット、山下達郎などが流行っていた。
このギターは会社の後輩がもらってくれた。
そして、ヤマハのSG1000である。
前に書いたが、これには長いことお世話になった。
数年前、
アコースティック・ハーモニーという楽器屋さんでリストアしてもらい、いまでも時々弦を変えて弾いている。
この頃は、もっぱらヘッドフォンでレコードをかけ、それに合わせて弾くというスタイル。
仕事で音のテストをやっていたので、エフェクターというものがどういう働きをするか、ということがわかり、いろいろとためになった。
仕事にも、趣味にも役に立ったということだ。
エレアコという言葉が流行りだしたころに、ギルドのエレアコを買った。
ブリッジの下にピエゾピックアップという振動のセンサーが入っていて、アコースティックでありながら、アンプにつないで弾くことができる。
もともと、アンプにつながないといけないような場面などなかったが、モーリスのフォークギターを親戚のおじさんにあげて、これを買った。
会社に入って、5年目くらいだったと思う。
ギルドというと、ポール・サイモンが使っているギター。
しかし、忙しい頃であまり弾くことはなかった。ギターに悪いことをしたと思っている。
30代の後半だったか、ギターシンセを買った。カシオのPGというシリーズ。今はシンセサイザーの音は出なくなった。ネットによると、コンデンサーの部品が悪く、それが原因とのこと。いくらかお金を出せば修理してもらえるらしい。
3年ほど前からどうしようか、迷っている。
これは赤いストラトのモデルだ。
ぼくは酒・ギャンブルはやらなかったし、当時出張続ばかりの生活だったので、いろいろと楽器関係で無駄遣いした。
このころ、サウンド&レコーディングマガジンという雑誌も毎月買っていて、これで得た知識が後で役立った。
何でもやっておくものだ。
そして、震災の後に、白いテレキャスターを買った。
これは、大阪で衝動買いした。
震災の後、悩んだ時期があって、何かを買わずにおれなかった。
このギターもアコースティク・ハーモニーで調整してもらって、弾きやすくなった。
このギターは今長男の下宿にある。
そして、マーチン。
やっぱり、マーチンのギターはすばらしい。
軽くて、鳴る。
自分がうまくなったような気がする。
これは、アコースティッグ・ハーモニーで、ギルドのギターを下取りに出して、中古を買った。
だいぶ、勉強してくれたと思う。ありがとうございました。
小さめのギターで一人でポロポロ弾くためのギター。
この頃になると、もうバンドを組むとか、どこかに出るとか、そんな夢はなかった。
馬齢を重ねて、ギター暦が三十数年というところだ。
次にオベーションである。
これは中古だったが、とてもきれいなギター。
スタンドに立てて、飾ってある。
これも前に書いたが、20世紀を代表する工業デザインだと思う。
このギターもエレアコで、シャロウボウルという薄いギター。
それでも、ブリッジの近くで弾くと、いい音がする。
そして、テレキャスター。
これは先生に習いに行って、やっぱりこれだ、ということで買った。
これも、アコースティック・ハーモニーにお世話になった。
本物のフェンダーだ。
このお店と縁があって、ほんとによかったと思う。
結局、アンプは今でもめったにつないでいない。
つなぐのが面倒なのだ。もっぱらヘッドフォンか生音だ。
レッスンに行ったらアンプにつなぐが、あまり音はいじらない。
ぼくは音を歪ませるのは嫌いなので、クリーンな音で弾いている。
このギターは食堂に置いてあって、いつでも弾けるようになっている。
これがぼくのギター遍歴。
14歳から弾き始めて、40年。
40年でギターに使ったお金が、だいたい軽乗用車1台分より安いか。
うちの息子たちにギターを弾け、弾けと言っている間は弾かなかった。
言うのをやめると、弾き始めた。
彼らがいつまで弾くのだろうか。
一生弾きつづけるのだろうか。
もし、そうなら、ぼくのギターは息子たちに譲ることができる。
まあ、期待をしないで待っておこう。