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2017.01.31 Tuesday
孤独を愛する
ハードボイルドの小説が好きだが、それらに出てくる探偵などは、たいてい孤独だ。
数少ない友だちはいるが、だいたいは一人暮らしだ。 結婚して子どもがいるハードボイルドの探偵は珍しい、というか、いない。 そういうものの対極にあるんだろう。 だいたい、ハードボイルドは孤独だ。 孤独、という言葉は最近流行らない。 友だちの数が多いほどいい、というような価値観が巷に溢れている。 SNSというようなモノが流行り、どこでどうしたとか、何を食ったとか、そういうしょうもないことすらみんなに知らせ、「いいね」と言ってもらいたいという世の中。 孤独は流行らない。 しかし、最近の調査の結果、SNSが広まって、逆になっている。 Facebookを利用した時間が長いほど、孤独感が深まる、という。 その理由は、SNSの世界はポジティブであり、自分の生活の良い部分を見せあい、それが虚飾の上塗りを重ねることになり、これを続けるほど精神的に孤独になるということだ。 確かにこんなつらいことがあったとか、こんな悪いことを言われたとかいうのは、Facebookではあまり見ない。 他人の幸せを見ると同時に、自分も幸せだということをこれでもかと見せることになる。 実生活はそんなにポジティブな行動ばかりではないし、惨めなこともある。 それが生活というものだが、それがFacebookになるとポジティブなものばかりになる。 そこに無理があるということか。 アメリカでは慢性的に孤独感を感じている人が多いという。 孤独感を感じている成人が、2000年には20%だったが、2010年には35%になったとのこと。 SNSの流行とともに、増えているのかもしれない。 ハードボイルド小説の生まれた頃は、SNSもなかったし、アメリカは希望の国だった。 その頃に孤独を愛するハードボイルド探偵が流行ったのは、みんなが孤独でなかったからか。 今は、ハードボイルドは流行らない。 孤独で、貧乏で、やせ我慢をして生きている探偵稼業は廃れてしまった。 さらには、孤独は健康にもよくないとのこと。 社会的孤独状態にあると、タバコ15本分健康に悪いらしい。 肥満になる確率も倍になる。 精神疾患、循環器の疾患のリスクも高まるという研究結果もある。 今や孤独は良くないものになったみたいだ。 ぼくはだいたいインドア派だし、一人で家にいるのは苦にならない。 BSや映画を見たり、何かを書いたり、本を読んだり、ギターを弾いたり、誰かにメールを書いたり、パソコンで何かを調べたりしている。 もちろん、最近は料理も皿洗いも洗濯物の片付けもする。 プライベートでは、時々誰かと会って飲みに行って話をする程度。 休みになったら、外に出て何かをする、ということはない。 ハードボイルドの探偵たちも、あまりアウトドアという感じではない。 依頼されたり、巻き込まれて仕方なく動く。 そういう感じは自分に似ていると思う。 ちなみに、孤独と戦うためにはこういうことをやればいい、ということが言われている。 一つは、そんなに多くの人との関わりは不要で、少ない友人との交流の質を高めるといいということ。 二つ目はボランティア活動に取り組むこと。 三つ目はペットを飼うこと。 四つ目は認知行動療法などに頼ること。 そういうことらしい。 |
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