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2014.07.01 Tuesday
コンピューターと人間
音楽業界の記事があり、読んでいるとアルバムの制作費の話が出てきた。
20数年前はアルバムの制作費は2000万円程度だったらしい。 しかし、今は中堅のアーティストで250〜300万、トップクラスでも800〜1000万円程度だという。 CDの売上が落ちたから仕方ないということもある。 しかし、実際に音楽を作るのに手間がかからなくなったのも事実。 コンピューターが音楽を作るのに関わるようになった。 音の高さ、強さ、長さをコンピューターに入れることで、作曲することができる。 その上、たいがいの楽器は、音の波形があるので、どんな音色でも使うことができる。 もちろんシンセサイザーで合成することもできる。 ナマの音が欲しければ、個別に呼んで来て、弾いてもらえばいい。 一人ずつでも、一度にバンドでやってもそれは構わない。 昔はテープだったが、今はコンピューターに録音する。 後からいくらでも加工できる。 ホールにいるような残響をつけたり、音程を変えたりすることもできる。 だから、制作費は安くなった。 極論すれば、楽器を弾ける人が一人もいなくても、ある程度のクオリティの音楽は作れる。 ぼくのギターの先生も、仕事が減る一方だと言っていた。 カラオケの普及も大きいと言っていたなあ。 だから、最近はスタジオミュージシャンというのは食えない。 よほどうまくないと、コンピューターに負けてしまう。 一方、コンピューターの方は、どんどん人間らしさをつけていく。 わざとピッチをずらしたり、タイミングを遅らせたり、早めたりして人間らしさを出す。 そんな状態もあって、制作費が安くなったのだろう。 コンピューターの進歩が制作費を安く上げることに寄与した、ということになる。 これと同じことが産業界でも起こっている。 コンピューターの導入で、人件費を安く上げることに寄与するのだ。 簡単な計算、複雑な処理でも、繰り返してやるものなどにはめっぽう強い。 人ではとても太刀打ち出来ない。 経理部などは本当に人が減った。 工場でも、センサーという眼や耳の代わりになるものを導入して、検査などの仕事はコンピューターがやったりする。 そんなふうにして、人間のやることが取って代わられる。 最後までコンピューターにならないのは、作詞・作曲・編曲かな。 企業でいえば、企画・立案のところだろう。 そういうところでしか、人間は能力が発揮できなくなっている。 難しい世の中になってきたものだ。 |
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