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2014.07.18 Friday
山水の破産
山水電気といえば、中高年のオーディオファンなら知っている名前。
ぼくの家にもあった。 チューナーが丸いメーターになっているのが特徴だった。 70年代はSansuiのアンプ、レシーバーといえばなかなかのものだった。 でも、80年代の半ばに調子が悪くなった。 英国資本に買収され、香港資本に変わり、2001年からは自社の生産拠点がなくなり、アフターサービスがメインの会社になったらしい。 そして、2014年7月に破産申請ということだ。 日経の記事によると、「音響・映像機器の老舗メーカーだった山水電気が7月9日に東京地裁から破産手続きの開始決定を受けていたことが16日分かった。負債総額は約3億5000万円。1947年設立の山水はかつてパイオニア、トリオ(現・JVCケンウッド)とともに「オーディオ御三家」と呼ばれていた。」とある。 そういえば、そうだった。 家電メーカーもそれぞれオーディオブランドを持っていた時期。 ナショナルはテクニクス、日立はローディ、サンヨーはオットー、三菱はダイヤトーンなどだ。 まだまだ日本のオーディオにカリスマがあった時期。 東南アジアで生産する日が来るとは夢にも思っていなかった。 黄金の70年代と言ってもいいと思う。 ぼくは中高生のころ、新製品が発表されたら三宮に行ってカタログを集めていた。 タダできれいなカタログをもらって、隅から隅まで読んで、勉強させてもらった。 S/N比やダイナミックレンジというような言葉は、カタログで覚えた。 かつての御三家のトリオはアマチュア無線の無線機で有名だった。 だから、チューナーが強かった。 これも2008年に日本ビクターの傘下に入り、今はケンウッドになっている。 パイオニアはスピーカーの会社だった。 ここはずっと頑張っていた。一時はオーディオだけでなく、電話やパソコンも作った。 でも、今ではどんどん事業売却し、DJ機器に強みがあるらしい。 ぼくもパイオニアのベルトドライブのレコードプレーヤーを長いこと使っていた。 留守番電話も使っていたことがあるなあ。 これらの3社は日本のオーディオの栄枯盛衰を表している会社だと思う。 みんな栄華を極め、山水のように破産してしまった会社もあるし、状況に応じて変化して生き残っているところもある。 でも、かつての栄華を考えると、ちょっと寂しい。 家電製品の中でもオーディオというのは、70年代から80年代にかけて、カリスマ性を持っていた。 アナログの粋を集めて作られた製品だったと思う。 デジタルのCDが出たのが1982年。 これはまだ一部の回路がデジタルになっただけで、基本はアナログだった。 でも、90年代にパソコンでCDの再生ができるようになった頃から怪しくなった。 再生できるということは、コピーできるということになる。 それがMDになり、今やビットデーターになった。 それとともに、パソコンとの垣根が低くなり、今や無線でのデーター通信などの仕組みがアンプに組み込まれている。 元がデジタルデーターだから、必然的な動きだろう。 パソコンの生産は、激烈な競争によって、台湾や中国に移転しているから、日本では苦しいということになる。 それと90年代にバブルが崩壊して不況になったのは痛かった。 家電業界の海外生産移転もこの時期に進んだのだと思う。 今や家電はデジタル化され、ポータブルプレーヤーやスマートフォンがその中心に座ろうとしている。 それらで日本製で頑張っているのはソニーくらいだ。 全体に小さくて安くなったが、音は良くなったと思う。 あくまでも、値段の割には、ということだが…。 山水の破産は、ぼくの中ではけっこう大ニュースだった。 残念だ。 これがウチにあったレシーバーだと思う。 懐かしい。 |
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