考えたこと2

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替え玉受験
「関西の大企業の社員の男が大学生から依頼を受け、企業の採用で実施されたインターネット上での「適性診断テスト」を替え玉受検したとして警視庁に逮捕されました。」というニュースがあった。

替え玉受験をした社員が逮捕されたということだが、依頼した方も書類送検する方針とのこと。
罪状は「私電磁的記録不正作出・同供用」の疑い。

この私電磁気的記録不正作出という罪は「不正に作られた権利・義務・事実証明に関する電磁的記録を、人の事務処理を誤らせる目的で、人の事務処理の用に供する犯罪」らしい。
もともとは、クレジットカード等の情報をスキミング等で盗んで、不正使用する、というような罪。
昭和62年だから、1987年にできた。

ニュースによると、容疑者は就活中の20代の女子大生から依頼を受け、適性診断テストのIDとパスワードを受け取り、インターネットから不正ログインし、替え玉受験した疑いとのこと。
20社ほどの企業のテストの受験を依頼したが、いずれも内定前の選考で辞退したということだ。
容疑者は1科目あたり2千円、あわせて10万円以上の報酬を受け取っている。
今年に入って、7月までで同じ手口で300件の依頼を受けて、400万以上稼いだとみられている。

ここまでの金儲けは知らなかったが、替え玉受験はよくある話だ。
そんなことをして通っても、不幸になるだけといくらいっても、やる人はやる。
そんなものだ。

企業の側はお金を払えばテストセンターという特定の場所で、本人確認をしてから受験させることもできるのだが、コロナ禍以降、メールで自宅受験が増えた。
設備を使用しない分、安価にできるというメリットがある。
しかし、替え玉受験はID、パスワードを教えればできるし、本人が受験しているときに、周りで教える(オーディエンス)ということもできる。
それはしない、という性善説に基づいて試験をやっているということだ。

本気で能力適正(基礎学力)を調べようと思ったら、テストセンターの受験になるが、予算と志望者数、適性検査の重要度などを考えると、企業側もメールでの受験も選択せざるを得ないという事情もある。
ある意味、企業側もそれがわかっているので、最終面接までにこの点数ならできるはず、という問題をペーパーテストでやらせる、ということも実際にある。
この依頼者も、そんな目にあっていたと思われる。

どうしても本人の確認をしたい企業は、カメラとマイクをオンにして監視しながらやらせる、という手もあるが、そこまでやるのは珍しい。
それならテストセンターを使ったほうがマシだ。

今回逮捕に至ったのは、同種の犯罪を抑止するという効果を狙っているのだろう。

この容疑者はツイッターで宣伝し「請負経験約4年、1人で計4000件以上」「通過率95%以上」「ZOOM画面共有も可能」といううたい文句まで書いていたから、捕まったのだろう。
悪事を宣伝する、という神経がわからないが…。
そこまで替え玉受験が一般的になっていた、という背景もあると思う。

Yahooニュースによると、容疑者はこう言っている。

「繁忙期の3月とかは1日30件近く受けてた時もありました。コネ入社や裏金入社が蔓延る現状をみると、別に悪いことだとは思わないですし」

「以前テストで落とされまくって鬱病になり、自殺寸前まで行った方を見たことがあります。その方の代行をして結果就活がうまくいき、生き生きとした生活を取り戻されたところを見ると、私としてはすごくやりがいを感じましたし、人の心の助けにもなると思っています」

明らかに善悪を履き違えているから、捕まったのだと思う。

これは氷山の一角で、リンクを送って試験を受けるという仕組みはもうなくならないと思う。
企業の側はわかってやっているのだ。

この状況を見て、本気で基礎学力が必要と思っている会社は、テストセンター利用に変えるだろう。

能力適正のテストは主に小学校4年から高校1年までの算数、数学と国語の知識。
それがあれば、問題なくほぼ合格する。

大学生が企業を受験するために、主に小学校、中学校の知識を問われ、それで落ちるというのはオカシイ、と思うだろう。
でも、今まで何度も書いてきたように、日本の教育レベルは本当に下がっている。
大学入試の多様化という美辞麗句で、大学はそれをごまかしてきた。
文系の入試から数学を外したり、理系でありながら数学が選択だったりする。

高校はそれに習って、高1で数学をやめる。
そもそも、小中学校の知識がほとんとないのだから、高校で教えることすらできないだろう。
小学校の算数でつまづいた生徒は、中高でどんな気持ちで授業を受けたのだろうか。
学び直しは先生の仕事ではないのか。

分数ができない、小数がわからない、割合がわからない…、算数のレベル低下は本当にひどい。
大人のための数学塾などというものもあるが、そこで教えているのは%や割引の考え方などだ。
それほど、落ちているのだ。

高齢者の交通事故が増えているというが、高齢者自体も増えているのだから、割合で考えないと真実はわからない。
マスコミすら、そういう視点でニュースを作らない。
世の中のレベル自体が下がっているのだ。

今回のニュースが、教育レベルの低下について、考えるきっかけになることを望む。




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