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2016.11.07 Monday
フィジカルは永遠じゃない
ユーミンの新しいアルバムが出た。
「宇宙図書館」というタイトル。 今までで最多の回数、最長の期間でツアーを行う。 彼女ももう62歳。 WOWOWのインタビューで、親友や仲のいいミュージシャンが亡くなったりしているが、自分は健康でまだ新しいものを生み出せている、と言っていた。 ぼくには親友の死というのはまだわからない。一人、40代の後半に亡くなったが、そのときには自分の死とは結びつけて考えられなかった。 でも、ユーミンの年齢なら結びつけているんだろう。 だからこそ、まだやれる間に頑張ろう、という感じ。 そのユーミンが、インタビューの最後の方で「フィジカルは永遠じゃないから」と言った。 若い頃はシャングリラなど大掛かりなライブをやっていたが、もうそんなことはできない。 当時はアンコールでプールを潜って、水の中のステージから現れるというような演出もやっていた。 でも、そのユーミンも還暦を過ぎた。 個人差はあるが、60歳近辺というのは、そういうことを考え始める年だと思う。 一度そういうことを考え出すと、そんなことを考えなかった昔には戻れない。 自分でも、どうして以前はフィジカルのことを考えなかったんだろう、とか思う。 それが不思議になったりする。 自分の身体が、自分の制約になる、ということをそれまでは考えもしない。 そんなことは考えの外にある。 もちろん、自分ができないことはできない。 それは制約ではなく、単にできないのだ。 それがある日、制約になる。 それまでできていたはずなのに、できないということだ。 そんな瞬間がユーミンにも来たんだろう。 それが、「フィジカルは永遠じゃないから」という言葉になった。 「宇宙図書館」の中に"Smile for me"という曲がある。 その詩の事をユーミンが語っていた。 最近やっとガラケーからスマホに変えて、よく写真などを写すようになった。 自分には高齢の母がいるのだが、時々実家に帰り、母の写真を撮る。 その時の事を語った。 この歌はこんなふうに始まる。 わらって、 わらって、 しばらくじっとして 自然に撮るから ふざけないで こっち向いて 松任谷正隆は、この詩を見て、今までこんな視点で由美さんが作ったことはなかった、と言った。 フィジカルは永遠じゃないことを知ったから、書けた詩かもしれない。 |
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