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2016.11.12 Saturday
水素の将来?
リチウムイオンなどの電池の性能がどんどん伸びて、燃料電池の旗色が悪くなってきた。
トヨタとホンダが水素で動く燃料電池車を出しているが、ちょっと予想が外れた感じだ。 日本は国をあげて燃料電池の開発を進め、実用化を目指しているが、ちょっと旗色が悪い。 こないだの日経に電池が破壊的に技術革新しており、石油の需要が減少する時代が早く来る、という記事があった。 シェールオイルが採掘されるようになって、原油の生産がピンチになった、ということよりも大きな変化が起こるとイギリスの格付け会社が言っている。 世界の石油需要の半分以上が輸送部門らしく、それがEVで打撃を受ける、という。 たしかにドイツの自動車メーカーはディーゼルからEVに大きく舵を切った。 先日のパリモーターショーでも主役はEVだ。 フォルクスワーゲンは、2020年に一度の充電で600キロ走れるEVを、今の量販車ゴルフの値段で売ると宣言したらしい。 ダイムラー(ベンツ)は電池の工場を作るという。 燃料電池車はまだまだ先か、あるいは未来が見えないような感じ。 ネットで燃料電池を調べると、「燃料電池とは、乾電池などの一次電池や、充電してくり返し使用する二次電池のように、蓄えられた電気を取り出す『電池』とは異なり、水素と酸素の電気化学反応により発生した電気を継続的に取り出すことができる『発電装置』です。」という説明。 だから、ガソリンのように手早く水素を補充したらすぐに発電できる、ということだ。 通常の電気自動車はEVと言われるが、燃料電池車はそれと区別してFCVと呼ばれている。 燃料電池なら水素を充填するだけなので、補充は早い。 今のガソリンスタンドで燃料を入れる、という前提でいくと、燃料電池車は将来有望だ。 EVの課題は充電に時間がかかることと、1回の充電で走れる航続距離。 しかし、航続距離はだんだんと伸びてきた。今でも300キロはいける。 充電の時間については、家で寝ている間に充電すればOKだ。 スタンドにいかなくていいから、却って便利という声もある。 要は大多数のユーザーの普段のニーズは満たしているということになる。 だから、テスラというアメリカのEVの専業ベンチャーは強気になっている。 そこここに充電ステーションもできてきた。 明らかに水素ステーションよりも多い。 燃料電池車はとにかく値段が高い。 インフラの整備まで考えると、社会のコストも大きくなる。 人口が減り、高齢化が進む日本でそれに耐えられるのだろうか。 充電のインフラが家庭用の電気でいいということなら、EVが俄然有望になる。 欧州やアメリカの自動車メーカーが急速にEVに舵を切っているのは、水素は当分先という見切りをつけたからだろう。 だから、今はPHVという変則的なEVが有望になっている。 これは基本はEVだが、電池がなくなった時にはガソリンエンジンで発電するというもの。 EVよりもコストは上がるが、既存の技術を使って実現できる。 航続距離を心配しなくてもいい、というのがメリットだ。 日産の新しいノートも似たようなもの。 PHVとの違いは、クルマから電気を取り出す仕組みがないということだ。 既存の自動車メーカーはエンジンをそう簡単にやめられない。 工場があるからだ。 関連部品を作っている会社など、大規模な変化になるだろう。 EV化で部品の数が大幅に減るだろうから、今の産業は大打撃を受ける。 でも時代の要請は変化を求めている。 テスラのようなEVベンチャーが出てくると、苦しいだろうなあ。 自動車産業は裾野も広く、日本の基幹産業だが、この業界は動きが激しくなる。 先のことを考えると、大変だ…。 |
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