考えたこと2

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マスコミは恐い
地上波のニュースはほとんど見ないのだが、ネットの記事に「日本テレビが、レディー・ガガ発言を意訳して炎上した」という記事があった。

面白そうなので見てみると、レディー・ガガが "Love trumps hate."(愛は憎しみに勝る) と書いたプラカードを持っている画像に、「トランプは嫌い」という報道したということらしい。
彼女はインスタグラムで、そのメッセージに続けて "Let’s take care now of each other" とお互いの事を思いやろうというような、対立を鎮めるような発言をしているのに、そこはとりあげず、その反対のトランプ嫌いを煽るようなメッセージを日テレが報道したということだ。

さすがに、誤訳の指摘があったが、一方で選挙中に彼女がヒラリー陣営を指示していたことから、これは意訳の範囲だ、という声もあったとのこと。
当の日本テレビは、その後のニュースでは、「愛は憎しみに勝つ」として放送したらしい。
結局は誤訳を認めたということだろう。

最近はそういう「意訳」が多いらしい。
記事の中にいくつか例が挙げられているが、番組の主旨に沿って、外国語で言われたことを都合よく「意訳」してテロップを流す、というやり方だ。

読んでいてひどいと思ったのは、韓国の反日関係の番組で、日本について街頭インタビューされた女性が「嫌いですよ。だって韓国を苦しめたじゃないですか」と言った場面。
実際には「文化がたくさんあります。だから、外国の人がたくさん訪問してくれているようです」と言っていたとのこと。

これは報道したフジテレビも正式に謝罪したようだが、「女性も男性も全体としては「日本は嫌い」という主旨の発言をしており、発言内容とテロップがズレてしまったミスだ」とのこと。
これは意図的な編集ではない、ということらしい。

記事の中ではウクライナでロシア人が殺されたときにも、『ロシア側の報道として「ウクライナ民族主義者が死体を辱めている」「妊婦が殺された」などの報道を積極的に行い、義憤にかられたロシアの若者を多く戦場へと送り込んだ。』とのこと。

マスコミが煽って、互いの憎悪を掻き立てた、ということだ。
マスコミは政治に利用されやすい。

このことで思い出すのは、第二次大戦の時の日本。
ある時期まで朝日や毎日に代表されるマスコミは良識ある報道をしていたと思うが、日華事変の後くらいからは軍部の提灯持ちみたいな記事を書くようになったらしい。
恐いのは、マスコミ自身が軍部に強制されたわけではなく、そう書いたほうが売れる、ということで、自ら書いたということだ。
これは半藤一利の昭和史の講演の中で聞いた。

マスコミは第四の権力と言われ、行政、立法、司法を見守り、それらの事実を報道して、牽制する立場にいるが、そこが「外国人の発言の意訳」というようなオカシイことをしてはいけないだろう。

売れるためには、対立を煽る扇情的な記事を報道するほうがいいのは事実。
アメリカではマスコミも政治的中立は問われず、自社として正しいと思う方向に記事を書くことが一般的らしい。
こっちがいい、と言って報道するのなら構わないと思う。(だからといって、ウソはいけないが)
旗幟鮮明にして、書くのなら、反対側のマスコミも見て一般人は判断できる。
それが民主主義の基本だろう。

でも、今の日本のように、マスコミは中立という立場では、なおさらそんな報道をしてはいけないと思う。
中立ならもっと事実ベースの報道をすべきだ。
ましてやマスコミが日本人の意識を煽って、外国に対する「思い込み」を助長してはいけない。

そんなことを続けていれば、戦前のマスコミが日本人を「鬼畜米英」と煽り、騙していたような時代がまた来る。

日本人が戦争をしたことについてはいろんな理由があっただろう。
でも、戦争を避ける道もあったはずだ。
もし開戦したとしても、もっと早く和平交渉をする道もあったかもしれない。
それらの可能性を潰してきた一つの原因はマスコミにもある。
戦意高揚記事などといって、戦争を煽った。
それも、マスコミが政府や軍にやらされたというのなら仕方がない。
でも、そうではないのだ。
売れるから、煽ったというのが事実だと思う。

それを反省せず、「意訳」をしている。

これは危ないぞ。

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