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プロジェクト・ベースド・ラーニング
日経ビジネスで、「問題解決能力を伸ばす「PBL」が就活生と企業のミスマッチを解消」という記事を見た。

PBLは今流行のアクティブ・ラーニングの一種で、「プロジェクト・ベースド・ラーニング」のことだ。
要は学生たちに課題を出して、その解決をする(だいたいはチームで話しあったり、現場に行かせたりする)という形式で、授業でやったり、課外でやったりする。

以前アクティブ・ラーニングの記事の時に書いたが、この種の授業をやるには、まず教員やファシリテーター(議論を円滑に進めさせるためのメンバー)のスキルが充分にあることと、学生側に基礎となる知識があることが必要だ。
それらがないままやってしまうと、ほとんどお遊びに近くなる。

もちろん、PBLを企画する人たちが悪いと言っているのではない。
だいたいが、学生のために一肌脱ごうという人たちが手弁当でやっている場合が多い。
エライと思う。
だから、PBLの結果は「学生が頑張って、良い結果が出た」というものになりやすい。
ちょっとでも効果があれば、そういうふうに評価し、この芽を絶やさないようにしたい、という運営側の思いが先行するのだ。

多くの場合、学生の知識不足や運営側のスキル不足で議論が盛り上がらなかったり、一部の知識の豊富な学生だけが意見を出すなどの状況になり、思ったほどの効果が出ないのだと思う。
ぼくが見たいくつかの事例はそんな感じだった。
事例発表の時は、いいことばかり言っているが、質問すると「いや、それは」というようなことが出てくる。

一部の教員はその難しさをよく知っており、アクティブ・ラーニングのためにはまず学生に勉強させることが大事、と言っていた。
でも、多くの場合は「まずPBLありき」で、それをすっ飛ばして、結果を得ようとする。
そうすると、わけのわからない事になってしまう。

さすがに、日経が大学と取り組んだものはそうではないのかもしれない。
でも、記事で紹介されている16の事例を見ると、前半は企業の事業の課題にの解決という感じだが、後半になると企業の採用の課題というようなものが増えており、最初から企業側が事業の課題を避けているような気がする。

やっている人たちのやる気は大事だし、ありがたいと思う。

しかし、その熱意が本当に企業の課題解決のためになるには、学生の基礎知識や文章力、論理構成力などを高めることが必要だ。

そのためには、そういうことをやっている人たちが、文科省に対して「初等、中等教育をもっとちゃんとやらないと、日本はエライことになるぞ」というメッセージを発するべきだ。

それが長い目で見た時に、本当の人手不足の解消策になるんだと思う。


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