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2017.01.14 Saturday
一人あたりのGDP
ぼくは知らなかったが、日本人一人あたりのGDPは低いらしい。
まあ、低い低いという話はあったが、見ないふりをしていた。 どれくらい低いかというと、世界で27位であり先進国中最低レベルということだ。 労働者ベースでみると、債務で苦しんでいるスペインやイタリアよりも低いとのこと。 ちょっとビックリする。 ぼくが会社に入った頃、生産性という言葉は日常的に使っていた。 工場で一人あたりの生産性がどれだけ高いかということを指標にしていたからだ。 だから、漠然と日本の生産性は高いのかと思っていたが…。 デービッド・アトキンソンというイギリス人が「新・所得倍増論」という本を出している。 その中にそういうデーターが紹介されているとのこと。 買ってみようかと思う。 要は、日本人は人口が多いからGDPが高いことを過大評価して、一人あたりのGDPが低いことなど意に介していないということらしい。 そういえば、日本人には謙虚さがなくなったと思う。 典型的なのが、何か偉業を達成した人に対して「勇気をありがとう」というような人が増えたことだ。 どうして素直にきっとたくさんの努力をしたのだろう、エライなあ、とか思えないのだろうか。 自分の視点でしか、物が見えていないような気がしてしかたがない。 まるで自分もガンバレば、その人のようになれる、と言わんばかりだ。 マスコミも率先してそれを煽っている。 あの言い方は本当にオカシイ。 東洋経済の記事に、こう書かれている。 『 「世界第2位の経済大国」というのはGDPという「経済の大きさ」の指標である。GDPは人口×生産性なので、中国経済が台頭してくる以前、先進国の中で米国の次に人口の多い日本が、2位というポジションについたのは当然といえば当然の結果である。しかし、「日本のGDPが世界第2位にまでなったのはなぜ?」という問いかけをされても、「人口が爆発的に増えたからでしょ」と答える人は少ない。「世界一の技術力があったから」とか「日本人は世界一の勤勉だから」とか答える方が圧倒的に多いのではないだろうか。 確かに、日本には技術力の高い企業がある。しかし、そうではない企業もそれ以上に多く存在している。日本人労働者は真面目だというが、怠け者だって少なくない。そういう「個」の事情が、「全体」に対する評価に引きずられる形ですべて帳消しにされる。つまり、ひと握りの日本人・日本企業が優れているという話が、「世界第2位の経済大国」というフィルターを通すと、いつの間にやら「日本全体が優れている」という話にすり替わってしまっているのだ。』 日本人が謙虚さを失っているということと、「いつの間にやら…」という意見とは関係があると思う。 80年代に日本はJapan as No.1などと言われ、増長してしまった。 それなりの実績もあったことは事実。 外国で評価される会社はたくさんあった。 それはぼくが小学校のころに、「アメリカ人はソニーはアメリカの会社だと思っている」という先生の言葉を聞いて、誇らしく思ったこととつながっている。 でもそれから20年、持ち上げられすぎて有頂天になってしまった。 これから人口が減る。 労働人口の減り方はもっと顕著だ。 だから、これからもっと経済成長は見込めない。 Amazonの「新・所得倍増論」内容紹介のところにアトキンソン氏のコメントが紹介されている。 「皆さんが学校でこんなに熱心に勉強して、塾にも通って、就職してからも毎日長い時間を会社で過ごし、有給休暇もほとんど消化せず、一所懸命働いているのに、「生産性は世界第27位」と言われて、悔しくないですか。 先進国最下位の生産性と言われて、悔しくないですか。 こんなにも教育水準が高い国で、世界の科学技術を牽引するだけの潜在能力がありながら、1人あたりのノーベル賞受賞数が世界で第39位というのは、悔しくないですか。 「ものづくり大国」を名乗りながら、1人あたり輸出額は世界第44位と言われて、悔しくないですか。 私は、悔しいです。日本は、この程度の国ではありません。 日本の実績を「この程度」に押しとどめている原因を特定し、改革を実行すれば、日本は必ずや、劇的な復活を果たせるはずです。 本書がその一助となれば、筆者としてこれほど嬉しいことはありません。」 彼は日本の問題として、戦時中の体制を引きずっているということを挙げているとのこと。 ぼくもそう思う。 賛否両論あるが、日本人は東京裁判で戦争が終わったと思っている。 でも、多くの日本人が稚拙な作戦で戦争中に餓死した事実ははっきりしていない。 その責任者たちはもう亡くなっているが、ぼくらはその責任を問うてはいない。 近代史の中でそれを明確にして、いかに日本が馬鹿な戦争をしたか、ということを今からでも認識しないといけないと思う。 それが日本人の謙虚さを取り戻す方法だろう。 アトキンソン氏のような人がいることに感謝。 本を買って読んでみよう。 |
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