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2013.10.17 Thursday
ぼくらは思っているほど自由ではない
脳を研究していると、その特徴がわかってくる。
ぼくらは自分で自由にいろんなことを決めていると思っているが、脳の制約を逃れられない。 脳が何かを決めるときには、何をよりどころにするのか。 それは比較であるらしい。 脳は絶対値で決めることは苦手である。 何かよりマシとか、あれより悪いとか、そんな決め方をする。 それが脳の得意な働き方らしい。 だから、知識や経験の量が多い方が決めやすい。 比較の対象が簡単に見つかるからだ。 脳は何かを決めるときには、それを何かと比較しているのだが、それを逆に使うのもまた得意だ。 同じ5足のストッキングを5人の被験者に渡し、これらの違いを述べてほしい、というような実験をやると、2は色が青っぽいとか、3はざらざらしているとか、4は素材が違うとか、そんな意見がどんどん出てくる。 同じものであっても、違いを見つけようとすると、脳はいろんな違いを作り出す。 そうして違いを見つけてしまう(正確には見つけたと錯覚する)。 脳科学が進んでいくと、生理的に避けることができない脳の働きがわかってくる。 わかってくると、ぼくらは思っているほど自由に生きていないということがわかる。 人間という制約の中で生きているということだ。 自由に考えているとぼくらは思っているが、実際にはそんなに自由ではなさそうだ。 自由とはいったい何なのか? それを考えるときに、不自由という概念を必要とする、というのが脳の制約。 それはそうだろう。 全てのものから外れて、自由に考えるなどということはできない。 所詮、人間には枠組みが必要だ。 そう考えると、結構人間は不自由なものだと思う。 でも、それは昔からそうなのだ。 |
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