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2021.10.15 Friday
エネルギー効率
以前紹介した松田先生が怒っている。
この人は安易に水素やアンモニアを利用して、脱炭素をうたうブームに対して、もっと化学を理解してくれ、と言っている。 ぼくも、そんなに詳しくないが、この人が言っていることは正しいと思う。 特に脱炭素ブームで補助金が出ているから、それに群がる人たちが多いのだろう。 水素はそのままでエネルギーとして使えず、燃やすか、燃料電池で電力化しないと利用できない。 これは技術でどうなるものではなく、事実だ。 だから、直接何かを燃やしてタービンを回し、発電するような火力や原子力とは違ってその一つ手前のエネルギー源だということ。 したがって、水素をどうやって作るか?という問題を避けては通れない。 メタンから作ると、燃やすのと同じだけのCO2が出るし、得られる水素の保有エネルギーは半分になる。 また、水素を作るときに出るCO2を地中に埋めるのなら、火力発電してそこで出るCO2を地中に埋めたらいい。 その方が楽だ。 再エネで作った電気で、水を電気分解するというやり方もあるが、加えた電気エネルギーの4割程度になってしまうという。 それなら、元のエネルギーをそのまま電気で使ったほうがよほど効率的だ。 トヨタが水素を使っているのは、今あるエンジンで燃やせるからだろう。 言い方は悪いが、ぼくはこれはエンジンを残すためのポーズではないかと思っている。 経産省は以前から水素に熱心だったからだ。 松田先生の言っていることはエネルギーを無駄遣いせず、効率を考えると水素には無理がある、ということであり、正しいように思う。 アンモニアについても手厳しい。 アンモニアを燃やすとNOxが出るから、それを除去するためにさらにアンモニアが必要であり、それも反応効率を考えると同量以上のアンモニアが要るということだ。 先生はこう書いている。 「全国の大気汚染関連の研究者・技術者は、こんなトンデモナイ事態に対して、なぜ黙っているのだろうか? CO2を出さない代わりにNOxを出して良いとする理不尽・不合理を、このまま黙認するのだろうか? 経産省は、懲りもせずアンモニア火力発電を進める国際会議まで開いていると言うのに、環境省はそれを黙って見ているのだろうか?」 これだけ世間が脱炭素でブームになっているのに、逆張りするようだが、先生が書いていることは事実だと思うし、ぜひそれをはっきりさせてほしいと思う。 脱炭素が正しいのと同等以上に、エネルギーを効率的に使おう、ということや大気汚染はよくない、ということも正しい。 先生の怒りはもっともだと思う。 |
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