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2019.02.21 Thursday
社内失業者
民間企業では、事務の効率化を進めている。
パソコンが導入されて2000年代あたりにだいぶ進んだが、それからさらに進めようということだ。 巷で取りざたされているAIはまだまだ特定の職場だけだが、RPAというロボティクス・プロセス・オートメーションというのが、ぼちぼち主役になる。 RPAというのは、決まったパソコンの操作を自動化する、というもので、今まで人がやっていたことをそのまま自動化する。 エクセルのマクロプログラムみたいなものだ。 銀行あたりでそれらが導入されて、事務がどんどん効率化しているようだ。 もちろん、IT企業でもやっている。 去年の10月、富士通はグループで5000人の大規模な配置転換を発表した。 転換される対象部署は人事、経理、総務などの間接部門。 その人たちを営業やシステムエンジニアに異動させるという。 要するに、管理部門を効率化して余った人を実働部隊に組み入れる、ということだ。 富士通の間接部門は2万人というから、25%を異動させるということで、規模は大きい。 長いこと間接部門で働いてきたら、いきなり営業やSEにというのは難しい人もいるだろう。 特に、中高年の間接部門の社員は難しいと思う。 実際、富士通では無理な人は新しい道を切り開いて…、と言っており、事実上の転職の勧めだと思う。 転職サイトなどで、中途退職者の声を聴くと、わりと多いのが「そんなに働いていない中高年が余っている」という声。 その人たちが年功序列で高い賃金をもらっているのが不公平だ、というものだ。 今回の富士通の措置はそういう声への対策もあるのだと思う。 ソフトバンクも同様だ。 通信事業の社員6800人を新規事業に配置転換する計画。 こちらもRPAによる余剰人員だという。 まだ新規事業に転換するだけましだとも言える。 みずほ銀行では、RPAなどで余った人員1万9000人を削減する予定。 三菱UFJ、三井住友も同じような業務量削減を言っている。 削減された業務をやっていた人がどうなるかはわからない。 これから働く人が減って、優秀な人材の確保は難しくなる。 そういう人材に来てもらおうと思えば、社内の効率化を進め、年功賃金を見直すしかない。 その第一歩が、富士通やソフトバンクの動きだと思う。 最も保守的だった銀行も、そういうことをやらないと生き残れない、ということだ。 メガバンクは特に学生の人気がなくなったから、早めにやろうとしているのだろう。 だぶついた中高年をどう配置転換するか。 新卒一括採用、年功序列賃金の制度がもう疲労している。 毎年会社は大きくなっていかないし、部署も増えないし、ポストも増えない。 だぶついた中高年のために、無理やりポストを作れるような時代ではない。 そんなことをしていたら、生産性は上がらないし、優秀な若い人は来ない。 ようやく、日本の硬直した雇用制度も変わり始めていると思う。 余った中高年を社内の新規事業で吸収するか、それとも社外で人が足りないところに転職するか、方法はいろいろあるだろう。 その制度設計をしないといけない。 そうすれば、まだまだ外国人に頼らなくても、雇用は確保できる。 痛みは伴うだろうが、それしかこれから日本が生き残る道はないと思う。 |
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