![]() |
2012.06.24 Sunday
キリギリス
ぼくらの世代は、期せずして高度成長の波に乗った世代だった。
「期せずして」と書いたのは、昭和ヒトケタの人たちのように、戦後の焼け跡を見て、強く高度成長を望んだわけではないからだ。 焼け跡から立ち直った人々、都市部に住んでいた人たち、戦争に行って幸いにも帰ってこれた人たちは、絶望の時代を過ごし、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるほどにした。 カタコトの英語で、海を渡ってアメリカに商売に行った人たちは、エラかったと思う。 ぼくらは、明日は今日より豊かであるのが、当たり前だと思ってきた。 部署が増えて、ポストが増えるのも当たり前だった。 サラリーマンは税金を天引きされているが、その使途もおかまいなしで、のほほんとしていた。 エコノミックアニマルなどと言われ、うさぎ小屋に住んでいると言われたが、それでも平気だった。 明日は今日より豊かだったからだ。 昭和ヒトケタの人たちが、焼け跡から復興した。 世界の国々が、復興には50年はかかるだろうと思っていたのに、わずか20年で復興を成し遂げた。 アメリカの助けはあったが、それでも子供心に日本はすごい国だと思われた。 ソニーやホンダが誇らしかった。 しかし、2000年以降は様子が変わってきた。 21世紀はアジアの世紀だというが、日本はどちらかというと存在感が薄れてきた。 どこで間違ったのだろうか。 ぼくらは、決してサボっていたわけではない。 一生懸命働いたと思う。 でも、やり方がどこかで間違っていたのだろう。 自分ではアリのつもりでいたが、今の若い人たちからみると、キリギリスに見えるだろう。 今の若い人たちは、アリのように頑張らないといけない。 キリギリスは夏の間、歌を歌って過ごした。 まさに高度成長を謳歌して、バブルにうかれていたぼくらのことだろう。 冬になって、キリギリスはアリに助けを求めるが、冷たく断られ死んでしまう。 今、団塊の世代が定年して年金をもらう。 しかし、アリの時代がいつかやってくる。 ぼくらの時代は、アリに冷たく断られ、冬の時代に死んでいくのかもしれない。 そうならないように、最後のご奉公をしたいと思うが、それをどうやったらいいのかがわからない。 キリギリスはそれなりに幸せだったのだと思う。 アリさん、頑張ってくれ。 |
![]() |