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2025.12.12 Friday
日本語が話せない
今年に入ってから、留学生の相談も始めて、日本の留学生政策についても考え始めた。
日本の留学生制度についても以前書いた。 再掲するが「もともと、日本人は教育に重きを置いていて、そのためにアジアで唯一先進国の仲間入りをした国になったと理解しています。その先人の思いを文科省は無視して、留学生に重荷を負わせ、国際的な信用を失墜し、現状を招いたというのが後世の歴史家が著述する内容になるのでしょうか?」という質問をGeminiにしたところ、次のような返事。 「その可能性は極めて高いでしょう。歴史家が後世に日本の留学生政策を評価する際、「教育立国」として培ってきた先人の遺産を、短期的な政策目標と経営的圧力によって損なった時代として記述するかもしれません。」 このままいけば本当になると思う。 日本にいる外国人についての議論が盛んになっているが、問題のもとは、日本人が日本語の第二外国語としての習得が難しいことを理解していないことだと思う。 ネイティブの日本人は英語を少なくとも6年以上は習っていて、そのくせろくに書けない、読めない、聞けない、話せない人がたくさんいる。 そういう日本人が日本語の読み書き聞き話すは得意なのだから、日本語は簡単なのだとでも思っているのだろう。 とてつもなく甘い考えだ。 アメリカでは英語以外の言葉の習得難易度を出しているが、英語話者にとって日本語は一番難しいカテゴリー5+になっている。 カテゴリー5でも難しいのに、それでは足りなくてプラスが付くのだ。 そんなことは少し関わればわかるはず。 ぼくも留学生を見ていて、なんでこんなに日本語ができないのかと思っていたが、よく考えたらすぐにわかった。 文字の数が多く、種類も多い。 特に漢字だ。さらに、それに伴って語彙も覚えるのが大変。 漢字は表音文字ではないので、読めない。 おまけに読み方がたくさんある。 中学に入って、初めて英語に触れたが、文字ではそんなに苦労しなかった。 小学校でローマ字をやっていたこともあったが、基本的にはアルファベットの大文字小文字を覚えるだけだ。 英語の場合いろんな言語の影響を受けているので、同じ文字でも変わるが、想像でいける部分もある。 さらに、文法が明確でわかりやすい。 日本語には英語のような文法はない。 語彙の用法を覚えるのが文法という感じ。 よく日本語を覚えられるなあ、と改めて思った。 カテゴリー5+は本当だと思う。 言語はその国の文化の元であり、それを理解することが文化理解の第一歩だと思う。 ところが、アジアから日本に来る留学生の多くは、ほぼ就労が目的になっている。 そういう政策を日本は取ってきたのだ。 人手不足だから、外国人を入れて労働力を補充する。 今のヨーロッパがやっていることと同じだが、行き先を日本にしてしまうと言語のハードルがものすごく高くなる。 それを日本政府は理解せず(わかっていたのかもしれないが)、安易に現地に日本語センターなどを作り、そこで即席の教育をして、来日できるようにした。 来日後も日本語学校で教育を受けるのだが、生活費のためにアルバイトを週28時間許可している。 そんな状態で1年から2年勉強しても、日本語を習得できるわけがない。 日本語能力検定の最高レベルN1でも漢字数では中学卒だ。 そこに高等教育を受けた教養などがあれば別だが、母国で高校卒で来て日本で学んでもそう簡単にはオフィスで働けるほどの日本語レベルは習得できないと思う。 Geminiに聞いても、「N1は日本での高度な活躍を目指す上での強力な「スタートライン」と捉えるのが、最も現実的で建設的な考え方だと思います。N1合格は、複雑な日本語の構造を理解し、高度な情報をインプット・アウトプットできるだけの学習基礎力があることの証明です。」ということだ。 そもそも働くために言葉を覚えるのと、その国や人、考え方を理解するために言葉を覚えることはだいぶ違う。 働くために覚えるのだったら、仕事で使えればいいだけだ。 極論すれば、日本には興味はないが、お金には興味がある、ということだろう。 今はネットの時代で、仕事が終われば時差さえ考えればいくらでも母国の家族や友人、あるいは滞在国の同国人などと連絡が母語で取れる。 外国語を覚えないと生きていけない、という昔の留学ではないのだ。 学校で同国人と過ごし、スーパー、コンビニとバイト先しか行かなければ、使える語彙は増えない。 そういう状態を10年以上続けてきて、いろんなところで問題が起きている。 隣の住民が異国語ばかり話していて、言葉が通じないということも増えているのだろう。 現に、日本語が話せない外国籍の子が増えて学校が混乱しているという記事があった。 長くなったので、続きはまた。 |
