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2018.04.09 Monday
ギブソン不振
ニューヨーク・タイムズにも、ギターメーカーの老舗ギブソンの不振の記事があった。
前にも書いたが、ギブソンといえば、フェンダーと並んでギターの2大巨頭。 ぼくらがギターキッズだった頃、エレキギターといえば「いつかはギブソン」「いつかはフェンダー」という感じだった。 もちろん、手作りに近い形で高額なギターを作っている会社は多いし、今でも存在するが、ネームバリューで言えばやっぱり、ギブソンとフェンダーだ。 記事によると、ギブソンのCEOはギターだけでなく、ヘッドフォンやハイファイオーディオを扱う会社にしようと思い、ヨーロッパのフィリップスという家電メーカーのAV機器部門を買収したとのこと。 それが裏目に出ているようだ。 年間の売上が12億ドル超で、負債が5億ドルもある。 大口債権者にはKKRという投資ファンドも名を連ねているとのこと。 記事にはギブソンの歴史も書かれている。 スミソニアン博物館で展示されている、チャック・ベリー愛用のギター「メイベリーン」など、名だたるミュージシャンがギブソンのギターを使ってきた。 カルロス・サンタナも、ジミー・ペイジも、ジミ・ヘンドリックスもエドワード・ヴァン・ヘイレンも…、本当にいろんなギタリストがギブソンだった。 フェンダーとギブソンには明確な違いがある。 ギターの弦の振動を拾うピックアップだ。 ギブソンはダブルコイルのピックアップで、ハムバッカーと言われるもの。 出力が大きく、ノイズが小さいが、中低音が強い丸い音。 フェンダーはシングルコイルだ。 低めの出力で、ノイズは大きめ、でもきらびやかな音が出る。 どちらかと言うと、ハードロッカーはギブソンで、フェンダ−はポップス系という感じ。 ギブソンとフェンダーは、それぞれのピックアップで音も違うことから、棲み分けができたのだと思う。 さらに、ギブソンはアコースティック・ギターも強い。 セミアコースティック、フルアコースティックというジャズなどでよく使われるギターや、普通のアコギ(フォークギター)のブランドでもある。 最近フェンダーもアコギを宣伝しているが、ギブソンの歴史の壁は撃ち破れない。 ギブソンはギターの総合メーカーだからこそ、苦しくなったのか…。 知らなかったが、1986年にも経営破綻をしていた。 その時に元GMの技術者で、自らもギターを弾くというジャスキビッツという人が立て直した。 それが今のCEOだ。 たしかに、ギターは安くなって一時はブームにもなり、猫も杓子もギターケースを持っていた時期もあった。 でも、最近はめっきり減った。 大学構内で、ギターを持っている学生をあまりみかけない。 80年代や90年代は、今から思えばギターのバブルだった。 でも、こないだ職場の60歳を超えた人が、学生時代フォークギターを弾いていて、ずっとやめていたのだが、思い立ってギブソンを買って毎日練習している、という話を聞いた。 やっぱりギブソンは憧れなのだ。 今年の8月1日に多くの債務の返済期限が来るという。 それまでに、どうできるのか…。 ギブソンのCEOジャスキビッツはこう言っているらしい。 「同じ夢を抱く誰かにバトンを渡さなければならないだろう」 ギターキッズが減っている今、うまく舵取りしてギブソンを続けてほしい。 フェンダーしか持っていないぼくも、ギブソンを救いたいと思う。 |
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