考えたこと2

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日の名残り
カズオ・イシグロの原作を元にした映画。
原題は"The Remains of the Day"。
彼の本は読んだことがない。今回ノーベル文学賞をもらったので、ちょうどいいから見ようと思った。

アメリカの映画だが、舞台はイギリス。
時代は第二次大戦のあとだが、ほとんどの場面は回想で、対戦前だ。

主人公は貴族の家の執事。
お城のような大邸宅に住んでいて、たくさんの使用人がいる。
主人の貴族はドイツびいきで、ナチスさえ支持している。
回りで仕える人たちは去っていくが、自分は主人の主義主張は関係ないと残って仕える。
主人が死んだ後、関係があったアメリカ人が邸宅を買い取り、その後もずっと執事として残っている。

去っていった人の中には、有能な女性もいた。
その彼女から、20年経って、もう一度働きたいと手紙が来る。
そこから、この物語は始まる。

お互いに、前の主人の元で一緒に働いていたときが、人生で一番いい時間だった…。

そういうストーリーだ。
回想と現在が行ったり来たりするが、だんだんと分かってくるという脚本。

第2次大戦前にイギリスに親ドイツの思想を持った貴族がいた、ということにちょっとビックリ。
そういえば、以前やっていた刑事フォイルというのでも、そんな話が出てきたと思い出す。
いつの世も、いろんな考えの人がいて、世の中は成り立っている。
歴史になってしまうと、まるで一色に塗りつぶされたみたいになるが、現実はややこしいものだ。

執事を演じるのがアンソニー・ホプキンス。女性を演じるのがエマ・トンプソン。
どちらも、いい役者だ。

淡々と流れる時の中で、人生も流れていく。
思い出せば、いろんなことがあった。
執事という仕事は、何となく武士の仕事みたいな気がする。

人生の寂しさ、自分の居場所というものを感じさせる物語だった。
こういう作品を書いたのか、と納得。

カズオ・イシグロはイギリス人だが、この作品には人生の無常、という日本的なものがあるような気がした。

| | 映画・舞台 | 21:58 | comments(0) | trackbacks(0) |