考えたこと2

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Yさんのこと
ぼくが会社に入って2年目あたりだったと思う。
当時実験室で振動や騒音の解析をしていて、計測器を使っていたのだが、別の事業部で最新型の周波数分析器を買ったということで、見に行ったのがYさんと会った最初だった。
Yさんは何かのプロジェクトをやっていて、その予算で解析機を買われたとのこと。
それがHP5420Aという、今でもヒューレット・パッカード社の解析機のメモリアルページに出ているマシンだった。
正式名称はDigital Signal Analyzerという。
メモリアルページに「70年代末の時点で、そのカテゴリーの中で最も洗練された機器」と書いてあるが、まさにそうだった。

当時ぼくらの実験室では、まだアナログの機械を使っており、HP5420Aがあまりにも便利なのにあきれ果てた覚えがある。
それほど便利だった。
おまけに、そのマシンはプロッターをつなぐとすごいスピードで結果を描いてくれる。
早すぎてボールペンではかすれるので、専用のサインペンを使っていた。
もちろん、CRTにも映るのだが、それを紙とテープに残せるのだ。
まさにデジタルのマジックだった。
当時のことだから、A-Dコンバーターというアナログ信号をデジタルに変える装置だけで、かなり大きな入れ物が必要だったが、それでも手押し車があれば、実験室の外に持っていけるという代物だった。

Yさんはそういった機器に詳しく、ぼくらに親切に教えてくれた。
そのおかげで、数年後に実験室の機器も新しくなった。
その時はぼくはもう実験室の担当ではなかったが…。

その後ぼくらの事業部の隣の課に来られ、よく話をするようになった。
とてもマジメな人で、当時商品耐久のプロジェクトをやっていて、胃を痛めたりしておられた。

また、Yさんは文房具好きで、いろんな新しい文房具を持っていた。
ぼくが文房具に凝るようになったのは、Yさんの影響だ。
とても整理がよく、何かを聞きに行ったらちゃんとファイルが出てきた。
特徴的な四角い字を書く人だった。

もう一つ、とにかくダジャレが多かった。
今ならオヤジギャグと言われるようなダジャレだ。
Yさん自身も「わかっちゃいるけど、やめられない」という感じだったなあ。
ぼくは何度か、「それ言うと思てました」と突っ込んだ覚えがある。
そういうと、いつもニヤッと笑って、「ほんまか」と言っておられた。

会社を辞めてからも、毎年年賀状を出していた。
なんでも、シルバーの方々の生涯学習のところで、コーラスをやっておられるとのことだった。

そのYさんが亡くなられたと今日連絡をもらった。
72歳。
まだ早いと思う。

亡くなられる前に、もう一度会いたかったというのは、いつも思うことだ。
きっと、天国でもダジャレを言って、してやったりとニヤッと笑っているんだろう。

あのオヤジギャグが受けているかな…。

合掌。


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