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2015.08.07 Friday
追悼 阿川弘之
阿川弘之が94歳で亡くなった。
海軍で出征し、海軍関係の小説をたくさん書いていた。 「軍艦長門の生涯」とか、「米内光政」、「井上成美」、「山本五十六」など30代に読んだおぼえがある。 ちょっと海軍びいきが過ぎた本だったかもしれないが、陸軍に比べると海軍は良識のある人が多かったんだと思う。 国を思うて何が悪い、という本も読んだなあ。この本は2008年に復刊している。 あひる飛びなさい、という本も持っている。 軍艦長門の歴史を描いたり、終戦時の宰相だった、米内光政を描いたり、開戦時のヒーローだった山本五十六を描いたり、あまり表には出なかったが海軍の知性派で、対米開戦反対だった井上成美を描いて、第二次大戦の歴史を小説で残してくれた。 海軍はイギリスに範をおき、自由な雰囲気だった、と書いていたと思う。 この人にも、第二次大戦のことをだいぶ教わった。 ユーモアは大事だ、という人だった。 書くことにもユーモアがあったと思う。 イギリス議会のやり取りや、吉田茂とマッカーサーのやり取りなど、ユーモアの重要性を講演で言っていた。 今は流行らないかもしれないが、こういう人の本を読めば、戦争のことがわかると思う。 戦争のことを伝えようとするのなら、文字で残されたものがたくさんあるのに。 どんどん戦争の語り部が減っていく、という人がいるが、文字の世界にはいくらでもある。 とっつきは難しいが、こういう小説は残していくべきだ。 こないだ、語り部が減ったから、語り部に聞いた人が語ろう、というようなことをやっていたが、そんなことをやるよりも、こういう本を読めば十分だ。 また1人、昭和の人が逝った。 |
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