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2015.06.13 Saturday
高校生の英語力
平成26年度に初めて高校3年生の英語力を、読む・聞く・書く・話すという4つの能力別にテストした結果が、文科省から発表されている。
対象は国公立480校の7万人。(ただし、話す能力は各校1クラスになっており、1.7万人) 今回のテストの売りは、高校生の英語力を幅広く測定するため、世界標準となっているCEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ言語共通参照枠)のA1から B2までのレベルを測定できるように設計した、ということだ。 結果は想像がつくが、まさに想像通りの結果である。 4つの能力全てに問題があるが、特に「書く・話す」が悪い。 読むこととリスニングは、まだそれに比べるとマシだそうだ。 共通一次みたいな試験ばかりやっている弊害が出たのかもしれない。 「書く・話す」はマークシートでは試験できないからなあ。 もちろん、英語が好きかと聞かれると、「英語が嫌い」、という結果が半分以上。 しかし、昔と違って、話すことの点数が高い生徒は「英語での討論やプレゼンテーション」の経験があるらしい。 そんな授業はぼくらの頃は全くなかった。 しかし、実際の点数を見ると、かなりシビアだ。 読むことが320点満点で、平均が129点、聞くことが320点満点で平均120点、書くことはなんと140点満点で平均が27点、話すことが14点満点で2.2点となっている。 聞く力はリスニングのテストや、英語の教育課程の変化で以前より上がっているんだろう。 しかし、書くことは2万人の生徒が0点だった。 この結果なら、文科省がしきりに小学校から英語を、という気持ちもわかるが…。 日本に住んでいる高校生は、大学入試を目的として考えると、読む・聞く能力は試験で問われるのでやっているが、書く能力は記述試験が主になるので、マークシート受験の生徒はほとんどやっていないし、話す能力は英語での面接でしか問えないから、全くやっていない。 自発的な学習意欲は大事だとは思うが、入試というインセンティブも大事だから、英語力を上げようと思うと、大学入試で大学が汗を流して頑張るというのが1つの方法。 簡単な話、文科省が各大学に英語のマークシート試験は廃止して、記述式にして、英語の面接を必修にしなさい、と言えばいい。 まあ、面接は大変だから、高校の英語課程に「話す」能力を入れて、その点数を絶対値にして、入試に加算するという手もある。 少子化なんだから、入試に手をかけてもバチは当たらないだろう。 今やほとんどの私学がAO、推薦で半分以上の学生をとり、一般入試はマークシート入試だ。 サボりすぎだと思う。 もうちょっと真剣に選抜しないと…。 それと、ぼくらの世代はまだ日本が貧しく、アメリカのドラマを見て、洋楽を聞いていた世代。 もちろん、ドラマは日本語の吹き替えだったが、豊かな海外に憧れがあった。 ベストテンは半分洋楽で半分が邦楽。 英語の歌を聞いて育った。意味など分からないが、かっこよかったからだ。 だから、今よりは英語に対する「わかりたい」という欲求は強かったと思う。 進んだものは海外から来るし、それは英語がわからないとダメだと思っていた。 今は日本が豊かになって、地上波を見ていると海外のドラマなど見ることはない。 ベストテンも全部日本の歌だ。 ラジオでも洋楽がかかることは少ない。 日本は一人前の国になった。 1億人もいるから、日本語の国内市場が成り立つ。 だから、英語は以前より遠くなった。 韓国の方が英語ができるのは、国内市場の大きさと関係があると思う。 しかし、日本は少子高齢化で市場は縮小する。 遅ればせながら、外国語をやらないといけなくなってきた。 英語の先生が英語を話せない、という状況を何とかしないとイケナイ。 結局は、そこにかかっていると思う。 |
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