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2012.02.24 Friday
人は金のみにて働くにあらず
心理学者エドワード・デシ教授の実験にこんなのがあるらしい。
大学生に面白いパズルを解かす実験 ・学生を2つのグループに分ける ・一つのグループには一つパズルが解けると1ドルの報酬を与えると約束し、もう片方のグループには何も言わない ・実験室に学生を一人ずつ入れ、パズルを解かせる ・制限時間13分のパズルを1時間に4問解かせ、それを3回繰り返す ・2回目と3回目の間に8分休憩を設け、自由にしてよい、と指示する ・自分は用があるからと言って部屋を出て、この休憩時間の行動をこっそり観察する。 アメリカの先生はこの手の実験が好きだ。 さて、何が起こったかというと…。 ・ただパズルをやったグループは、休憩時間もパズルを解こうとして頑張った。 ・1ドルもらえるグループの学生のほとんどが、雑誌を読んだり、他のことを始めた。 デシ教授は、これを1975年に発表した。 これはえらいことだと思う。 パズルをやる面白さを、報酬のお金が消してしまったということだ。 これを専門用語で言うと、お金をもらうという外発的動機が、パズル自体の面白さという内発的動機を壊してしまった、ということになる。 自分が面白いと思って、自発的にでもやろうと思っている状況が、仕事をやる場合でも理想的な状況といえるだろう。 そこにお金が絡むと、それ自体を壊してしまう…。 それほど、お金というものの動機づけは強い、ということになる。 だから、お金に動機づけられてしまうと、仕事それ自体の楽しみを奪ってしまうということになる。 それほどまでに、お金の力は強いということだ。 そうなると、徹底的にお金で動機づけをして仕事をすればいいではないか、という意見がでる。 それは真実なのだが、お金にはあまりにも強い魅力があるので、中毒になってしまい際限なくお金が必要になる。 だから、お金では動機づけは難しいということだ。 ただ、仕事の面白さ、というものの中には、自分が他人の役に立っているとか、自分の裁量である程度決められる、という感覚も必要になってくる。 そうでないと、動機づけにはなりにくい、ということだ。 こんなことを経営学者はやっているらしい。 これは、高橋信夫という経営学の教授の受け売り。 これらを元に、高橋先生は成果主義や年俸制に反対し、日本型の年功制に戻れ、と言った。 客観評価は大事だが、それは評価者が責任を放棄することにつながりかねないし、上司が部下を評価するということは、上司の責任であり、それは当たり前のことだ、という。 至極まともなリクツだと思う。 こういう事をもっと教えないといけないのではないか。 内発的動機づけというような専門用語ではなく、人間の持っている「性」として。 |
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