考えたこと2

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妥協
どこかの本で工学における設計とは、いかに高いところで妥協するかということである、ということを読んだ。

設計を長いことやった人にとっては、当たり前のことなのかもしれない。

妥協のない設計はないと思う。

いろいろな制約の中で設計をする。
目標となる性能は一つではない。
寸法、重量という基本的なものに始まり、そのモノが果たすべき性能の中で、優先順位がある。
これがくせ者で、あちらを立てれば、こちらが立たずというような項目が多い。
もちろん、当たり前性能というのもある。耐久性とか、使いやすさ…。
そのモノを作るための制約というのもある。作りやすさや工程能力というやつだ。
さらに、使うことができる材料という制約もある。
これらをひっくるめて、コストという制約もある。

エンジニアは、いくらお金をかけてもいいし、どんなに作りにくい設計でもいいからやってみなさい、と言われたらここまではできる、という解を持っている。
その解が、「理想」と呼べるものからはほど遠いものであるにしても…である。

通常は、いろいろな制約の中で、どれとどれを満足させるのか…これが妥協である。

工学とはあくまでも実用のモノを作るための学問であり、実用のモノとは、普通には売れるもののことである。

いくら良いものができても、通常千円で買えるモノに対して五千円を払う人はまずいない。

よくあるのは、五千円でできるものが、先ほどのエンジニアの持っている解だとしても、その解で向上する性能が差額に見合わないというもの。

これは、エンジニアがそのモノを熟知しているからこそ、「少しでも」良いものを…という思いでできる。

一般の人にとっては、その「少しでも」は本当に「少し」でしかない。

この場合は、対象の設計が、すでに非常に高いレベルで妥協されている、ということになる。

こんなふうに、エンジニアは妥協をすることが仕事だとわかっている人種である。

でも、本当のエンジニアは、死ぬまでに一度は、すべてに妥協せず、コストも含めて良いモノを作りたいという夢を持っている。
今まで千円していたものを五百円にして、さらに性能も向上する…というような設計。

ほとんどのエンジニアはそれを実現することなくリタイアしていく。

しかし、たとえ実現しなくても、そんな夢を持ち続けられるエンジニアこそが、高いレベルの妥協点を見いだせる人だと思う。





| | 考えたこと | 23:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
笑って生きよ
何度も恐縮だが、朝のドラマから。

主人公のおじいさんは、若狭塗り箸の職人。
一日、家の作業場で塗り箸を作っている。
あとを継いでくれると思っていた長男は家を出て、次男は居候状態が長く続き、ただ塗り箸作りだけに人生をかけてきた…という人。ドラマでは米倉斉加年が演じる。

長男がやっと帰ってきたが、それがうれしかったということを臨終の時まで言えず、ただ塗り箸作りに専念する。

そのおじいさんが、小学生の孫(主人公)に「おまえはいっぱい笑え。笑うて生きよ」という。

毎日、にこりともせず、作業場で塗り箸を作っているおじいさんからは想像できない言葉。

おじいさんはずっと好きな落語をカセットテープで聞きながら仕事をしていた。
そのテープがおじいさんと主人公を結び、その後の人生も決めていく。

仕事でにこりともしないおじいさんが、その孫と落語のテープを聞いているときは笑っている。

ぼくも、いっぱい笑って生きたいと思う。

主人公はいっぱい笑うという状態からはほど遠い、後悔ばかりの学生生活を送る。
いつも、精一杯やろうとするのだが、誰かに気づかったり、みずから腰が引けたりして、後悔ばかりになるのだ。
でも、そのたくさんの苦労や後悔が、磨かれた塗り箸の模様のように、その後の人生で生きてくる。

いっぱい笑って生きるためには、何かを精一杯やらないといけない。

落語に出てくるオモロイやつは、それなりに精一杯生きている。
だからこそ、愛されるのだろう。

そんなふうに生きていければ、いっぱい笑えるのだろう。

成功や失敗とは関係ないのだと思う。



| | 考えたこと | 00:07 | comments(0) | trackbacks(0) |