![]() |
2022.10.24 Monday
経験重視?
学力重視か、経験重視かという入試の話がある。
どちらが個人の努力に依存するか、という観点で見ると、圧倒的に学力重視のほうだろう。 どんな経験をするか、というのは暗に学力以外の経験という意味がある。 そういう類の経験のほうが親に依存するからだ。 ぼくらは受験戦争という言葉を知っている。 そういう時代に受験をした世代だ。 四当五落という時代だった。 この意味もわからなくなっている。 睡眠時間が4時間なら合格、5時間寝たら落ちるということだ。 でも、やることが勉強であり、教科が決まっていたから、それをやればよかったのだ。 範囲も、やることも決まっているし、学校以外にそれを支援する(お金は要るが)場所もあった。 その反動で、受験が厳しいということになって、大学がたくさん作られた。 その時期と相前後して、少子化が進んだ。 今はどこでもよければ、大学に入れる時代。 受験者数のほうが、総定員数よりも少ないのだ。 受験戦争世代にとっては夢のような時代だ。 文科省は天下り先を増やすために、大学数を減らすことには消極的。 ほとんど潰れた大学などない。 そのおかげで、入試は多様化し、推薦入試だけでなくAO入試などというものもでき、早期の入試をやることによって、人数を確保しようとする大学も増えた。 おまけに、AO入試は一般入試扱いにしたものだから、いくらでも受験生を取れる。 AO入試は当初の志は良かったのだが、そんなこんなで今は見る影もない。 それでも、思い出したように出てくるのが、「経験重視」や「人物重視」という考え。 よほど公平な学力で選びたくない人たちが言っているのだろう。 なぜ客観的な指標を無視して、主観的な指標を使おうとするのだろうか。 学ぶために必要な知識を持っているかどうかは、どうやって判断するのか。 どの経験を重視するのか、その信憑性はどうやって担保するのか。 経験や人柄などというわけのわからない(いくらでもごまかせる)主観的なもので「試験」をしてはいけない。 それは教育の崩壊だと思う。 |
![]() |